いて座
理想を彫刻する
閉じた系としての村社会世界
今週のいて座は、村の外に根城を持つアウトローのごとし。あるいは、失われた「外部」への足がかりを取り戻していこうとするような星回り。
インターネット以降、特にSNSが普及し始めた2010年前後以降、世の中から数値化も可視化もできないような「外部」というものがどんどん失われていっているような嫌な感じがずっと続いてきました。
そして、2016年の前アメリカ大統領選、そして2020年末から現在も続いている今回のアメリカ大統領選で、もはやマスメディアがそうした「外部」の存在そのものを認めようとしないのだということが決定的になったように思います。
もはやマスメディアで配信されている記事は、読んで実になるかどうか、読むべき価値があるかどうかではなく、読者の快楽原則に則っているかどうかが最優先され、愛着や憎悪の依り代になりされすれば事実や真実などどうでもいいと言わんばかりです。
それはさながら、安心で十分に満ち足りた閉じた系としての村社会であり、村のなかではあたかもウィンウィンな関係が成立しているかのように見えますが、実際のところ、それは読者(社会の構成員)の世界観までも小さく、貧しくしているのではないでしょうか。
その意味で、6日にいて座から数えて「理想の浮き彫りになる場所」を意味する11番目のてんびん座で下弦の月を迎えていく今週のあなたは、まずは改めて立ち止まってどうしたらみずから世界を小さく貧しくしてしまうことをやめられるかを考えてみるといいかも知れません。
無力の国から出ていくために
ルネッサンスを代表する彫刻家ミケランジェロが人類に残してくれた遺産のひとつに、次のような言葉があります。
「余分な大理石がそぎ落とされるにつれ、彫像は成長する。(The more the marbles wastes, the more the statue grows.)」
妥協してとどまっているうちに、無力化されてしまうような場所からは、こちらから願い下げして、みずからアウトロー(無法者)となってそこから出ていくこと。今のいて座には、それくらいの見栄を切っていくくらいがちょうどいいのかも知れません。ただし、その実行には、丁寧に時間をかけながら、自分の生活から余分なものをそぎ落としていくというやり方をもって。
間違っても、自分を無力などとは思わないでください。それは甚だしい誤解であり、逆にそうやってすぐに「無力の国」を作りあげ、あなたをそこへ閉じ込めたがる固定観念こそ、そぎ落とすべき本丸なのだと覚えておくべし。
今週のキーワード
現実彫刻家