うお座
もう一人の自分を演じる
悪女を装う
今週のうお座は、ルパン三世シリーズの峰不二子のごとし。すなわち、むき出しの意志や感情はカモフラージュし、淡々とすべきことをしていく中で、欲しいものを手に入れるだけのしたたかさを発揮していくような星回り。
自称「ルパンの恋人」と言いつつも、実際には単なる金ヅルとしか見ておらず、その他の男性を手玉に取りまくったり金をごっそり持っていったりする、強欲極まりない悪女。だが、そこがいい。
作者モンキーパンチの理想の女性元型を具現化したであろうことが丸わかりだが、彼だけでなく人はみな心のどこかで巧みな話術や色仕掛けで、誰かに人生を滅茶苦茶にされたいという暗い衝動を抱えているのではないでしょうか。
もちろん悪い存在になることを正当化している訳でないのですが、「なにか大きなものに取りこまれたい」という欲求を実現しようとすると、どうしても「騙される」といったことが起きてくるのではないかということです。
お客に夢を見させるホストではないですが、今週はあなたが向き合う誰かの中の深い衝動や願望が実現するお手伝いを、自分でも気付かぬうちにしてしまうことでしょう。
崇高さを纏う
宝塚歌劇団の男役スターを思い浮かべてみるのもいいかも知れません。
本物の男以上に「カッコいい」とされる男役の存在感や、それを女性が演じている独特さは何に由来しているのでしょうか? 一言でいえばそれは「崇高さ」です。
例えば日本の右翼の祖とも言われる頭山満という大人物の師でもあった高場乱(まもる)は男装をする女性でした。江戸時代から続く藩医の家系を継ぐため、正式な男として育てられた高場は、学問、武芸も極め、眼科医をする傍ら、自宅で私塾をひらき、多くの優れた人材を輩出しました。
興味深いのは、高場がもともと虚弱体質であった点です。
その影も見せず、10代の荒くれ者たちと寝起きを共にし、生涯にわたり「君子の生き方」を実践で叩き込んだ高場は、その格好以上に相当の覇気の持ち主であり、その姿はさぞかし崇高に映ったことでしょう。
今週のあなたはそんな高場の覇気のかけらほどでも身の内に宿し、常識や自らの限界を超えた、もう一人の自分を演じてみるといいでしょう。
今週のキーワード
馬子にも衣裳