うお座
無邪気さのレッスン
敏感な者たちの会話
今週のうお座は、山田詠美『ぼくは勉強ができない』に出てくる会話のごとし。あるいは、自分の中の無理解や差別や偏見を乗り越えて、これまで見えていなかったものが見えてくるような星回り。
「あんたは、すごく自由に見えるわ。そこが、私は好きだったの。他の子みたいに、あれこれと枠を作ったりしないから。でもね、自由をよしとしてるのなんて、本当に自由ではないからよ」
こんな言葉を言われてしまったら、どんな人間でも思わずギクッとして体が固まってしまうのではないでしょうか。
この小説の主人公である高校生の秀美くんは、彼女の言葉を受け止めつつ、こう考えます。
「もしかしたら、ぼくこそ、自然でいるという演技をしていたのではなかったか。変形の媚を身にまとっていたのは、まさに、ぼくではなかったか。ぼくは、媚や作為が嫌いだ。そのことは事実だ。しかし、それを遠ざけようとするあまりに、それをおびき寄せていたのではないだろうか。人に対する媚ではなく、自分自身に対する媚を。」
そして最後に、こう結論づけるのです。
「人には、視線を受け止めるアンテナが付いている。他人からの視線、そして、自分自身からの視線。それを受けると、人は必ず媚という毒を結晶させる。毒をいかにして抜いて行くか。ぼくは、そのことを考えて行かなくてはならない。」
12月3日(火)に「拡大と発展」の木星が約1年ぶりに星座を移り、うお座から数えて「同志との精神的なお付き合い」を意味する11番目のやぎ座へ入っていく今週のあなたもまた、秀美くんのように、学校の勉強とは違った「勉強」をしていくことになりそうです。
持つべきものは子供みたいな友
人は多かれ少なかれ、「周りがそうだと言っているからという理由でそう思い込んでいる」偏見という名の目に見えない布をまとっています。
ときどき違和感を覚えることはあっても、そうした集団催眠というのはきっかけがないとなかなか自分で解くことは難しい一方で、人の手を借りると驚くほどすんなり脱げてしまうことがあります。
最近なんだか息苦しいなと感じていたなら、見えない衣でがんじがらめになってしまう前に、それとなく気の置けない友人や知り合いに連絡を取ってみてください。
その際、できるだけ子供のようにまっすぐな目で、ありのままのあなたの姿を見てくれる人物を選ぶこと。
成熟してあるということと、子供みたいに無邪気であるということは、うお座の場合、ほぼ同じことなのです。
今週のキーワード
変形の媚を脱いでみよう