てんびん座
再出発の始め方
寂しさのおきどころ
今週のてんびん座は、「漬物桶に塩ふれと母は産んだか」(尾崎放哉)という句のごとし。あるいは、仕事とも言えない仕事に携わらざるを得ない切なさから、再出発していくような星回り。
作者は、地元・鳥取の進学校から東大を経て一流企業に就職。まっしぐらに進んだエリート街道を、妻と子とともにある日突然捨ててしまい、放浪生活に入ったことで知られている人物で、その生き様に憧れるファンも多い。
掲句は詠まれた場面も、その意味するところもきわめて明瞭であり、こんなことをするために自分は生まれてきたのかというやるせなさや、もの寂しさを短い言葉でずばりと言い表している。
誰であれ、生きていればこうした感慨を持つことがあるだろう。
「漬物桶に塩をふるような仕事」というもの、生き方を変えるというドラマチックな転身の裏には、こうした砂を噛むような無数のエピソードが埋もれているのだいうことは容易に想像がつく。
今週のあなたもまた、自分の人生をみずからの手で変えつつある手ごたえをどこかで感じていくことがあるかもしれない。そしてそれを恐れてはいけない。もう後戻りできないところまで来ているのだから。
自分のなかの「天」を広げる
英語のことわざに「天は自ら助くる者を助く」という言葉がありますが、この場合の天とは、“自分の中の何か得体の知れないもの”と言ってしまいましょう。
それと対極的なのは、世間がどう思うかどうかで決断を成そうとする態度ですが、そういう時というのは、自分を世界の端っこで縮こまって生きているものとして感じている時です。
無意識のうちに自分はきっと不幸なはず、幸福にはなれない、というイメージを浮かべてしまっているわけです。
今週のあなたのテーマは、“良い意味で笑顔でいてくれるかどうか”という基準で、不必要な思い込みを排していくことです。
今週のキーワード
自由律俳句