てんびん座
道楽者のなりゆき
こちらは10月18日週の占いです。10月25日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
山登りと歌づくり
今週のてんびん座は、「温泉(ゆ)にとめし眼を大切や秋の山」(前田普羅)という句のごとし。あるいは、究極の道楽を追い求めていこうとするような星回り。
ある秋の山道を登っているときのことを詠んだ句。木々のあいだから、時おり視界のはるか彼方の山腹に、そこを目当てにしている温泉の施設がチラと見えたかと思うと、いつの間にかまた見えなくなってしまう。
そこで、どうかあの温泉を見失わないようにしなければならない、ということを「とめし眼を大切や」という言い方で表わしたのでしょう。「ゆ」に「め」をという音の取り合わせにもリズムが感じられますが、これは作者が以前に体験した、登山のあとにつかる温泉の心地よさの記憶が重ねられているのかも知れません。
ただ、それはともすると容易に失われやすいものであり、目の前の雑事に追われているうちに雲散霧消してしまうものでもあるのです。この場合の「温泉(ゆ)」とは、翻ってあなたが今もっとも見失いたくないと感じているか、もう一度ぜひ体験したいと思っている何かを表しているのだとも言えます。
20日にてんびん座から数えて「取り組むべきもの」を意味する7番目のおひつじ座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、自分がいま一体何を目指しているのか、どこへ向かって苦労を重ねていくべきなのか、改めて見定めてみるといいでしょう。
面影を追って
例えば、自分の欠損部分をちょうど補ってくれるような特別な相手のイメージというのは、誰の中にでも存在しているものです。どんな荒んだ野良猫にだって、グルグルとやさしくのどを鳴らす子ねこのようにしてしまう、内なる平和の使者がいるように。
司馬遼太郎の『竜馬がゆく』の中にも、目を閉じると、昔から同じ情景でこちらを向いてたたずんでいる女性の顔が浮かんでくるという描写があったように思います。ただし、その面影はどこか曖昧で、かつては幼い自分の面倒をみてくれた姉の顔だったのが、最近はどちらかというともっぱら親しくしている愛人の顔に似てきてくるなど、その時々で微妙に変化していくものとしてありました。
そういうことは誰にもあるのではないでしょうか。
あなたには、目を閉じたときに自然と浮かんでくる顔はありますか?それはどんな顔でしょう?誰かに似ていますか?
ここまで読んだのなら、20秒でいいので、まず何も考えず、目を閉じてみることです。そこで最初に浮かんでくる顔がどんな顔なのか、じっと観察するところから始めていきましょう。
てんびん座の今週のキーワード
分身とその再会