てんびん座
ゆるやかに立ち上るもの
意識をくゆらす
今週のてんびん座は、「団扇振り昼を減らしてゐたりけり」(阪西敦子)という句のごとし。あるいは、だんだん丸みを帯びていくような星回り。
日差しのきつい夏の午後に、畳にころりと横になって一休みをする。その際、クーラーのスイッチをポチリと押してテレビでも付けるのが当世風ですが、「団扇(うちわ)」を持ち出すとそこにはまったく違った味わいが出てきます。
はじめは少しでも早く涼もうと、団扇も焦って速く振る人も多いでしょう。けれど、だんだんと塩梅がわかってくると、むしろ「昼を減らす」がごとくゆっくりと力を抜いて団扇を振るようになる。その方が、心臓の鼓動もゆったりとしてきて、かえって心地よく感じられてくるものなのかもしれません。
そしてこれは、単に午後のひとときの過ごし方に限らず、何かを学ぶことであったり、芸を磨いていく上でも通底してくることのように思います。
7月28日にてんびん座から数えて「レクリエーション(余暇)」を意味する5番目のみずがめ座に逆行中の木星が戻っていく今週のあなたもまた、余計な力みや不要な緊張をだんだん減らしていくことをテーマにしていきたいところです。
プレイセラピー
より簡潔な言葉に言い換えれば、今週はいかに上手に「力を抜くこと」こそが、今のてんびん座にとって最も重要な課題なのだとも言えるでしょう。
例えば、自分の考えを言葉にするのが苦手な幼児や児童を対象とした心理相談では、言葉より人形遊びや好きなゲームなどの「遊び」を中心にセラピストとやりとりをするやり方が主流です。
つまり、人形やゲーム、箱庭に言葉にならない言葉を見出していく訳で、掲句の作者もまた俳句と遊んでいくうちに、次第に力みが抜けていったのではないでしょうか。
今もしあなたが、考えやイメージがこんがらがって、ほどくのが難しいと感じているのなら、森、原っぱ、砂漠、岬、広場、洞窟、浜辺、川岸、沼、村はずれ、鉄塔、山、大理石など、どこでも構わないので、自分がピンときた場所や環境に身を置いて、まずは副交感神経をリラックス状態していくことを優先するといいでしょう。
サッと目が開かれる時というのは、案外そういうことがうまくできた時と決まっているものですから。
てんびん座の今週のキーワード
遊び上手は抜き上手