てんびん座
実践としての愛
憧れることと弁えること
今週のてんびん座は、「妥協なき孤高のこころに桐の花」(船越淑子)という句のごとし。あるいは、消耗する馴れ合いより心優しき孤立を選んでいくような星回り。
「桐」は古来より高貴とされ、宮中などでも使用されたといいますが、今では都会で見かけることはほとんどなくなってしまいました。
山近い郊外の地で、ひと際高い位置に咲くうす紫の桐の花には、掲句に詠まれたように「孤高」の印象を受けますが、実際に近づいて匂ってみれば、どこか優しい芳香を放っています。
同様に、「妥協はしない」とか「一線を引く」などと言うと、私たちはつい他人に厳しい印象を受けたり与えたりしがちですが、本来それは何よりもまず自分自身への厳しさを持つということであったはずであり、それゆえに「高貴」でありえたのではないでしょうか。
自分にできることなら、可能な限りのことはしたい。だからこそ、そうするために自分の身の置きどころはしっかり弁える。桐の花からは、そんな姿勢がやんわりと伝わってきます。
23日にてんびん座から数えて「理想」を意味する9番目のふたご座で、新月を迎えていく今週のあなたもまた、自分なりのロールモデルや目標を改めて定め、そこに自分を再調整していくことがテーマとなっていくでしょう。
複雑な情報は解読の先にあるもの
芸術は感覚的に作られるものであり、その場その場での感性によってしか説明できないものと誤解されがちですが、芸術を理解するには、その芸術が生み出された時代や背景をきちんと理解していかなければなりません。そしてその意味で、芸術にいちばん似ているのは、やはり人間でしょう。
美術というものの格好の入門書である若桑みどり『イメージを読む』には、「人間を一目見ただけでその威厳や美しさに戦慄するのはよくあることです」と前置きした上で、次のように述べています。
「でもわれわれが戦慄したのは、その人間の目の光や、身振りや、いったことばやしたことのせいなのです。人間は外観であると同時に複雑な意味の発信体なのです。」
確かに、美術品を愛でるコレクターが美術品が作られた時代や背景をうっとりと語るように、愛とは理解であり、理解したいと願うことは愛の始まりなのだと思います。
今週のあなたもまた、先に述べたような“優しき孤立”を選べたなら、きっとほどなくそうした始まりの予感に突き動かされていくことになるはずです。
今週のキーワード
愛とは理解