しし座
わが高慢は沈めよ涙に
※1月10日〜16日の占いは、諸事情により休載いたします。誠に申し訳ございません。次回は1月16日(日)午後10時に配信いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
光の方へ歩きなさい
今週のしし座は、「枯れ木立光の方へ歩きなさい」(藺草慶子)という句のごとし。あるいは、自分自身に寄り添い、ケアしていこうとするような星回り。
先生が生徒に向かって語りかけているかのような「光の方へ歩きなさい」という力強いセリフは、かえってその背景に厳しい冬の寒さですっかり縮こまってしまった生命力の弱まりや、闇へと沈んで道を踏み外してしまった暴走や逸脱や痕跡を感じさせます。
とはいえ「枯木立(かれこだち)」は葉をすっかり落とした木立のことで、日の光をさえぎるものがなくなるため、そこには思いのほか明るい光景が広がっていくはず。つまり、作者が語りかけている対象は、光と闇のはざまの危うい領域にあるのではないでしょうか。
そうなると例えば、能の主役は「シテ」、つまりすでにこの世の人間ではない亡霊でありながら、未練を残すがために祈りをとなえながら舞を舞い、ふたたびかの世に消えてゆくように、掲句もまた、どこか生と死を行きつ戻りつしながらそのあわいに佇んでいる存在に向けて捧げられたものであるようにも感じられます。
2022年1月3日にしし座から数えて「セルフケア」を意味する6番目の星座であるやぎ座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、まず自分自身に「光の方へ歩きなさい」と語りかけ、他の誰よりも寄り添えるような自分であれるようになることがテーマとなっていくでしょう。
わが身を捧げる
今あなたは誰/どこから自分の頑張りを見ていてもらおうとしているのでしょうか?その点で今週のしし座の指針となりそうなのが、インドの詩聖・タゴールの『ギータンジャリ』という詩集の最初に登場する詩です。「わが頭(こうべ)垂れさせたまへ/君がみ足の塵のもと」という一節から始まる詩行の後半に、次のような箇所が出てきます。
わが身を覆ひて立ちませ心臓(むね)の蓮華(はちす)に
わが高慢(たかぶり)は残りなく沈めよ涙に
ここでは「わが身」、特に心臓のチャクラ(サンスクリット語で円盤や車輪の意)と冒頭の「君(きみ)」が再び対比させられている訳ですが、おそらくこれこそが詩集のタイトルである「ギータンジャリ(歌の捧げ物)」の意味するところであるように思われます。
つまり、自分のためではなく、自分に霊感を与えてくれている何かに光を当てていくためにこの詩は編まれたのであり、結果的にタゴールはこの光り輝く作品でアジア初のノーベル文学賞を受賞しました。今週のしし座もまた、こうした彼の在り方にできるだけみずからの基準を合わせていきたいところです。
しし座の今週のキーワード
ハートチャクラ