しし座
愚かで素直な自分から始めよう
こちらは6月21日週の占いです。6月28日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
無理な自立より素直な依存を
今週のしし座は、欠落や弱さの共鳴場のごとし。あるいは、ギリギリのところでいかに正気や健康を保っていけるかということに絶妙にアプローチしていこうとするような星回り。
2010年にNHKが製作した特集ドキュメンタリーをきっかけに「無縁社会」という言葉がネットを中心に大きな反響を呼び、その年の流行語にもノミネートされました。それはバブル経済の陰で地縁や血縁、社縁がじわじわと解体され、現代人が改めて自立と孤独とを重く課せられつつあることを暗示する出来事だったように思います。
人びとは自己の生の意味を自分ひとりで見つけ、自分だけの人生をつくり出すことを余儀なくされ、それまで以上に「個人」であることを求められるようになっていった訳です。
あれから10年以上が経過して、社会はどうなったか。期待された「自立」を果たそうと懸命に努力してきた人ほど、その裏で身体的、心理的な問題を抱えていたり、慢性的な中毒症状に悩まされていたり、なにより、躁うつ病を発症したり、公表する人もだいぶ増えてきたはずです。
つまり、「自立」は幻想であって、かえって依存に受容的でいられる人ほど有能だったり、健全でいられるということが、だいぶ明らかになってきたのではないでしょうか。
25日にしし座から数えて「ウェル・ビーイング」を意味する6番目のやぎ座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、そんなに立派な人間にならなくてもよいのだということを改めて再確認していくことになるはず。
「怯え」は恥ずかしいことではない
あなたは自分のことを、おろかな知恵者か、かしこい愚者か。そのどちらに近い存在だと思っていますか?
――子供の頃、独りで広場に遊んでいるときなどに、俺は不意と怯えた。森の境から……微かな地響きが起こってくる。或いは、不意に周囲から湧き起ってくる。それは、駆りたてるような気配なんだ。泣き喚きながら駆けだした俺は、しかし、なだめすかす母や家族の者に何事をも説明し得なかった。あっは、幼年期の俺は、如何ばかりか母を当惑させたことだろう!泣き喚いて母の膝に駄々をこねつづけたそのときの印象は、恐らく俺の生涯から拭い去られはしないんだ。(埴谷雄高、『死霊』)
こうした私が私であることへの「怯え」、あるいは自分が人間であることへの不快には、身に覚えがある人もいるでしょう。そしてそんな「戦慄」や「うめき」こそが、無理な自立から離れて、素直な依存に開かれていく原動力となっていくように思います。
今週のしし座は、そういうことがすこし分かってくるのではないでしょうか。
しし座の今週のキーワード
あっは