しし座
北風と疑問符
動乱の最中で
今週のしし座は、「北風の中われを差す指を見き」(橋詰沙尋)という句のごとし。すなわち、揺れ動く状況の最中において、自分が果たすべき役割を直知していくような星回り。
冷たく厳しい北風が吹きすさぶ冬の暗い街中で、何者かの指がわたし自身を指さしている。その指が誰のものなのかは、わからない。顔はよく見えず、焦点はむしろ指先に合っている。
掲句のような人間味を拒絶するような人物描写は、俳句の領域では新鮮に感じられますし、登場しているのはもしかしたら生きた人間ではないのかも知れません。
北は先祖の霊が鎮まる方角であり、そこから吹いてくる風はいわば祖霊の声であり、自分に課せられた何らかの「役割」を告げる星辰の導きの暗示でもあったのかもしれません。
2月2日(日)にしし座から数えて「重い課題」を意味する10番目のおうし座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、これまで受け取り切れていなかった北風の指摘に今こそ目を向け直していくことになっていくかも知れません。
一個の巨大な疑問符となる
かつて「馬は死後何になるか? 光の馬になるに決まってる」と言った人がいましたが、これが自分のこととなると、さっぱり分からなくなります。それに、確かに死ねば文句はないのですが、死ねないことが問題というか。
われわれは醒めても、醒めてもなお醒めなければならず、そういう永劫の悪夢の中にポイと放置されているかのようにも思えてきます。
それでも日が暮れて冷たい風が吹き、空に無数の星々が瞬いているのを見かける頃には、精神は記憶の上澄みのように透きとおって、これまで見えていなかったものが見えるようになります。
そういう時の、中性的で、ごまかしのない眼差しが、今週は凄味を増して力強く現れてくるでしょう。
いつもなら目の前を素通りさせている現実や、気にも止めていなかった関係性の中に、何か引っかかるものがないか。あるいは、ここのところ忘れていたような長年の疑問をほどくヒントがあたりに転がっていないか。
するどく、はげしく、心のままに、問うてみてください。
今週のキーワード
自分で自分を見下ろす