ふたご座
大きく飽きる
迷いを楽しむ
今週のふたご座は、「夜の蟻迷へるものは弧を描く」(中村草田男)という句のごとし。すなわち、あえて拘束の多い状況をつかって楽しんでいくような星回り。
掲句において、作者は「迷える者」の真髄をズバリ言い当てている。
おのれが置かれた理解不能な状況から逃れようと動き回っているのだが、そういう時に限ってグルグルと円弧を描いてしまう。そこから少し外れれば簡単に脱出できるのに、その一歩がなかなか出てこないのだ。
しかし見方を変えれば、そうした孤独なプロセスの中でこそ、能力の限界だとか、成長の伸びしろというものは見えてくる訳で、「夜の蟻」もそれを承知で「迷い」を楽しんでいるのかもしれない。
今は足踏みをしながら、なぜ現在のような状況に陥っているのか、そして自分が欲望しているものは何なのか、といった自問自答を繰り返していく中でこそ、得がたい学びが出てきそうです。
「自主的隷従」から脱する
一時的な平和を得るために大きな力の犠牲となって、搾り取られる。しかも自分から進んでそうすることに慣れてしまう。
16世紀の早熟の天才思想家ラ・ボエシはそんな人間の性質を「自主的隷従」と呼びましたが、それは中世に限らずいつの時代もあるようです。つまり認めるのは嫌ですが、それは人間の普遍的な性質のひとつなのかもしれません。
ただ一方で、人間にはひとつの状態が長く続き、極まると「飽きる」、そして真逆の状態へと反転するという性質もあるようです。
あなたの今週のテーマは、小さなレベルではなくより大きなレベルで「飽きる」こと、という風にも言い換えられるでしょう。
今週のキーワード
夜の蟻