ふたご座
極点をつきぬける
※7月2日配信の占いの内容に誤りがございました。お詫びして訂正いたします。(2023年7月3日15時11分更新)
再生のための試練
今週のふたご座は、今を生きる現代社会病としての境界性パーソナリティ障害のよう。あるいは、経験しうる厄介さの極みを改めて思い知っていこうとするような星回り。
誰もが病いやそれに近い症状、そのリスクを抱え込んでいる現代社会において、特に厄介なのが、精神病とも神経症などのいずれとも異なるために「境界性(ボーダー)」と呼ばれ、その根底に自己愛の問題があるために、境界性パーソナリティ障害と名付けられている一群のグループです。
医学者で作家の岡田尊司によれば、そうした悩みを抱えている人たちは90年代以降急増しているため、もはや「現代社会病」と呼んでも差し支えない面があり、特に「若い年齢層」や「女性」に多く、その頻度は男性の約4倍であるが、次第に男女間の差も縮まりつつあるのだと言います。もちろん、ボーダーと一口に言っても、ベースの性格によってさまざまなタイプに分かれるのですが、その一例として、やはり「現代社会病」の一つである自己愛性パーソナリティ障害と合併したケースについての一節を引用しておきます。
傲慢で、自己特別視が強く、情よりも利で動くタイプを自己愛性パーソナリティと呼ぶが、自己愛性パーソナリティ自体は、強い自信によってストレスをはね除ける力をもつ、安定した人格ということが多い。しかし境界性とオーバーラップしたタイプでは、自己愛性の特徴に加えて、非常に不安定で衝動的で、自己破壊的な傾向が加わることで、本人の激しさに周囲はしばしば苦しめられることになる。本人も見かけの強さからはうかがえない脆さや孤独、劣等感を内面に抱えており、依存対象を必要とする。特定の一人、二人の人間だけにその弱さを見せるということもあるが、その部分をうまく受け止めてもらえないと、激しい攻撃や支配、パラドキシカルな反応を見せる。(『境界性パーソナリティー障害』、2009)
岡田は「境界性パーソナリティ障害は、自己を確立するための産みの苦しみ」であり、「それは、病というよりも、一人の人間が、これまで背負ってきたものを一旦清算し、大人として生まれ変わり、再生するための試練」に他ならないのだといい、もし本人だけでなく、支えている人たちの気力が尽きることがあれば、「そんなときは、結果を急ぎすぎているのだ」とも言及しています。
7月3日にふたご座から数えて「他者の弱さや面倒」を意味する8番目のやぎ座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、自身や身近な相手との深く関わる上で知っておかなければならないこと、受け止めていかなければならないことを見定めていきたいところです。
何か大いなるものの一部である感覚
たとえば病いを得ると、人は驚くほどに変容していきます。それは病いというものが、純粋な不条理が結晶化したものだから。
「なぜ私でなければならないのか」
「どうして他でもない今なのか」
「私はなぜ生まれてきたのか」
これらの問いに対してぴったりと納得のいくような答えを出すことはできません。またいくら説明されても納得はできないでしょう。そもそも、あらゆる宗教というのは、「生きることは不条理である」というところから出発している。その上で、いかに苦悩を引き受けて生き抜くかという知恵の結晶が宗教的なるものの本質なのです。
苦悩は人を弱らせますが、どこかで極点をつきぬける中に、身を貫くような切なさで自分が大いなるものの一部であると実感していくことができる。さながらずっと地中に埋まっていたセミが、ある時に地中から這い出し、樹上にのぼっては、空に身をゆだねていくように。今週のふたご座もまた、厄介さを相対していくなかで、不意にそんな風に極点をつきぬけられる瞬間がやってくるかも知れません。
ふたご座の今週のキーワード
結果を急ぎすぎないこと