ふたご座
世界の中心でひとり唸る
人生の根っこ
今週のふたご座は、庭に生えた小さな樹木のごとし。あるいは、不透明であり続けるものを改めて受け止めていこうとするような星回り。
自分の庭に生えている、なんということはない小さな樹木であっても、掘り返してみると根は思った以上に深くまで地中に広がっていて、抜き取ろうとすれば非常に苦労するもの。
同様に、人間もまたこの世界に自分なりに根を張っているはずですが、私たちはどうしても、どんな立派な枝ぶりになったかとか、どんな花を咲かせ、果実を実らせたかなど、地面から上の樹の様子ばかりを見ようとしてしまいます。
すなわち、年収や住んでいる家や資産、家族構成など、合理的な論理性ではかることのできる指標や成果によって、その人間の価値を見定めようとしてしまいがちですが、その一方で、その人間をこの世に食い止め続けている痛みであったり、割り切れない思いや気持ち、解消されきらずにうずいたままの欲求など、人間が人間らしくある上での核心部分こそ、その人がこの世に根を張っていることの何よりの“しるし”なのではないでしょうか。
もし世界に中心があるとすれば、それはその人が根を張っている場所であり、その事実は、例えささやかでちっぽけな自宅の庭であったとしても、揺らぐことはないのです。
4月9日にふたご座から数えて「基本財」を意味する2番目のかに座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、そうした根っこの感覚こそ、自己価値を増殖させていく上での鍵なのだということを改めて実感していくでしょう。
割りきれないものを抱えていく
考えてみれば、分数というのは不思議なもので、例えば「1/3」など、割り切れないものを表現する奇妙な性質を持ち、それはこの形でしか正確に表現できず、どんなに小数点以下を並べても、すべて近似値になり、これは円周率をπ(パイ)という記号でしか表現できないことにも似ていますが、それとも微妙かつ決定的に違っています。
どういうことか。例えば、中学校の校門で次に出てくる生徒が男か女のどちらか当てる状況にある時、仮にその中学校の男女比率が7:3ならば、次に出てくるのは男が70%で、女が30%の確率となる訳ですが、この確率を端的なビジュアルで認識しようとすると、「あしゅら男爵」のような気味の悪い姿になってしまいます。
つまりここでは、現実の世界と確率とのあいだのズレが端的に示されており、現実に無理やり線を引いて割りきろうとすると、なんだかおかしなことになってくるということ。「7/10」も「3/10」も割り切ることはできず、そこでは単に差異が強調されているのではなく、現実のままでは秘められ表面に現れない含意が担保されていて、そこが分数の不思議な魅力なのだと言えます。
その点、今週のふたご座もまた、そうした分数の分母のように、決して割り切れない分子をそのままに胸に抱いていきましょう。
ふたご座の今週のキーワード
この世に根を張っている“しるし”