ふたご座
嘘つきなりの誠実
薄闇の世界の中で
今週のふたご座は、さまよえる囚人のごとし。あるいは、改めて勝ち目の少ない“負け戦”を挑んでいこうとするような星回り。
プラトンの『国家』に「洞窟の比喩」と呼ばれる有名な例え話があります。洞窟の内部で手足や首を縛りつけられた囚人は事物の影を事物そのものと信じ込み、われわれ自身はこの囚人たちとよく似ている、と。
確かに、真実を語ることは、民衆の欲望を肯定する民主主義のシステムとは相性が悪い。ただ、だからと言って元囚人はもはや仲間(民衆)の耳に心地よい空疎な言辞を述べるおべっか使いには成り切れないでしょう。
立春、そしてふたご座から数えて「語ること」を意味する3番目のしし座での満月を迎えていく今週のふたご座もまた、自身の生き様と「真なることを語ること」をどう関係させていくかが改めて問われていきそうです。
調和と戒律
「見たくないものは見なくてもよいのだ。 見たいものだけ見ればいい。 見るべきものを見ていれば。」
これはよく引用する橋龍吾の「戒律」という詩なのですが、副題がついていて、「調和(モラル)への標」とあります。
この副題は、そのまま一体どこに自分の目標を置くのか? という生き方のスタイルへの問いかけにもなっているように思います。
つまり、民衆の欲望によって象られた内の世界との調和なのか、それとも太陽の光によって照らされた外の世界との調和なのか。それはすなわち、真実以前の不調和を中和するのか、真実以後の不調和を中和するのか、選んでいくということでもあります。
今週のキーワード
際限のないおしゃべりか、意図的な嘘か