やぎ座
いないいないばあっ!
こちらは5月24日週の占いです。5月31日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
背景としての死者の世界
今週のやぎ座は、「遠きひと近き人など呼びてをりかぐはしきかなあちらの時間」(辺見じゅん)という歌のごとし。あるいは、「ない」されているものを「ある」と強く実感していくような星回り。
どこか夢のなかで死者たちのざわめきを感じているような歌。作者は角川書店の創業者の長女で、春樹の姉にあたり、小説『男たちの大和』の作者でもあります。
「近き人」が亡くなった作者の父や異母妹を思わせる一方で、「遠きひと」のほうは、あえて「人」という漢字を崩して表記されていることからも、すでにこちらの言葉も通じなくなった祖霊や海の藻屑となって散っていった戦死者たちのことでしょうか。
死後の世界があるかないかということは、今日表立って語られる機会はほとんどありませんが、どちらかと言えば「ない」と考える人が多いのではないでしょうか。
それでも、こうした歌を一読し、また声に出して味わってみると、「ある」と考えた方が人として謙虚でいられるように思います。
26日にやぎ座から数えて「隠れた領域」を意味する12番目のいて座で皆既月食(満月)を迎えていく今週のあなたもまた、潜在的にとってしまっているやり取りの真意が背景の世界観とともにせりあがってくるように感じられるかも知れません。
レヴィ・ストロースの『神話の構造』より
この論文は、天から生まれてきた種族と、地から生まれてきた部族の、その子孫として人間は可能かということが論じられており、要するに反対物を統合する者としての人間の運命の根源が神話の構造の中に見出されることについて書かれています。
例えば、ギリシャ神話であればだんだんと首長制を確立し高みに登りつめていくゼウスは、その反対の分身として、酒と狂乱の神として絶えず母胎回帰的であろうとするディオニソスを必要とするのであり、ディオニソスこそ自身もまた父であるクロノスに反旗を翻して王権を獲得したゼウスの起源における反社会的なものの表れなんですね。
これは権力者としてのゼウスの立場からすれば、ディオニソスは本当は切り捨てなければならないんだけれど、それが自分の活力の源だということを知っているために、簡単には切り捨てられないということでもあります。
今週のやぎ座もまた、自分の運命をよりダイナミックなものにしていく上で欠かせない存在や図式とはどんなものなのか、改めて浮き彫りにしてみるといいでしょう。
今週のキーワード
反対物の統合