やぎ座
GO STRAIGHT
土の俳人
今週のやぎ座は、「昼寝起焦げるが如き草履はく」(桜井土音)という句のごとし。あるいは、明確かつ素朴に愛すべきものに力を注いでいくような星回り。
大地を耕し、四季の日輪のもとで生きる百姓ではありますが、それでも夏の日差しは耐えがたく、真昼の最も日差しが厳しい時は仕事を休み、田畑に出るのは主に朝夕の涼しい時間帯となります。が、仕事の多い時はその強い日差しに焦がされるような思いをしながら働きに出なければならない。
掲句では、朝ひと働きした農夫が、昼飯後の仮眠から醒め、烈しい光の中に脱ぎっぱなしにしたままの草履をはいています。日を吸って灼けつくような熱さになった草履を結びつけて、再び農夫は歩いてゆくのです。
掲句は「焦げるが如き」という表現が実によく効いている句で、百姓生活の中からでなければ生まれてこない感銘が、すこぶる強い力をもって迫ってくるのを感じます。
同様に、12日にやぎ座から数えて「力の解放」を意味する5番目のおうし座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、自嘲や嘲笑など余計なことにエネルギーを使わず、ひたすらまっすぐに自分の道を歩いていくべし。
人間クリスの試み
実話を元にしたアメリカ映画『イントゥ・ザ・ワイルド』は、裕福な家庭でエリートとして育った青年クリス・マッカンドレスが、大学卒業を期に、身分や名前さえ捨てて北(アラスカ)へと旅立つというストーリー。
彼は旅の中で様々な出会いを通しその旅を楽しみつつ、最後はアラスカの自然の最中で衰弱死してしまうのですが、幸いなことに、そうした最後の日々において彼が何を考えていたのかは、残された日記を通して窺い知ることができます。中でも次の言葉は、彼なりの旅の総括だったのでしょう。
人生において必要なのは、実際の強さより、強いと感じる心だ。
一度は自分を試すこと
一度は太古の人間のような環境に身を置くこと
自分の頭と手しか頼れない
過酷な状況に一人で立ち向かうこと
今週のやぎ座にとっては、そんな彼の「心」がいつも以上に自分に近いものとして感じられるのではないでしょうか。
今週のキーワード
Keep On Fighting