やぎ座
死に物狂い
暗い夜道で想像力は倍加する
今週のやぎ座は、「青大将に生まれ即刻殺たれたし」(宮入聖)という句のごとし。あるいは、思いきった仕方で自分を活かしていこうとするような星回り。
青大将に生まれ変わりたい、そしてすぐさまに打ち殺されたい。
そんな作者の転生をはさんだ想像には、隠しようもない生への絶望が垣間見えてしまう。ただし、掲句には一つの矛盾も存在する。
「殺(う)たれたし」と言うからには、棒かなにかで撲殺されるだけの手応えを伴なった大きさがなければならないが、卵から孵ったばかりの幼い蛇に使うには明らかにふさわしく言葉であり、したがってここで詠まれているのは語感の通り猛った青年のように成長ししきった「青大将」への転生でなければならない。
それを踏まえた上で、改めて作者の抱いた絶望について考えてみると、それはまだ萌芽のような幼生や、老いて死にかけた生の頼りなさとは真逆の、凶暴なまでのエロスの氾濫に裏打ちされたものだったのではないかという気がしてくるのです。
いまあなたがどんな状況下にあるのかは分かりませんが、少なくとも言えるのは、17日にやぎ座で満月を迎えていく今週は、今後半年の未来を占っていく上で一つの決定的な分岐点を迎えていくということ。
それを乗り越えていくには、転生さえ可能にするような強靭な想像力が必要となってくるでしょう。
「治す」より「治る」
現代人は不可解で残酷な事件が起こると、すぐに「うかがい知れぬ心の闇」と言って思考停止してしまいますが、今のあなたにはその闇をとぼとぼと歩き続けていく気概はあるでしょうか。
人を殺すにしろ、自分を殺すにしろ、人間は日々いろんなことを考えながら生きています。しかし、その考えの多くは、本当の考えを考えないためのものであって、そういう安全に生きていくための明かりやキラキラをあえて無視して、闇の中を歩ききったとき、なぜだか病んでいた心が不思議と治っていたりすることがあります。
自分の孤独だけは特別だと思い込んで、そこに囚われると、人は自壊していきますが、孤独の中に溶け込んで、取り入れていく人は回復する。そういう回復の道は、いつだって真っ暗闇で、そんな道を行こうとすると、世間からは気が狂っているなどと言われる。でも、それでいいのです。
できれば、今週はそんな道をこそ選んでたどっていきたいところ。
今週のキーワード
狂っている自分を世界に向けて提示していく