やぎ座
「大人」のやめ方を知る
負の遺産を解消すること
今週のやぎ座は、「ふらここを漕ぐあのころの空がある」(今井肖子)という句のごとし。あるいは、失われたものを取り戻す心の動きを茶化していくような星回り。
「ふらここ」とは、古代中国の北方民族では春の頃の遊びだった鞦韆(ぶらんこ)のこと。天地のあいだへ目一杯に足を延ばして漕いでいくうちに、子供時代の「あのころの空」が垣間見えたのかもしれません。
すっかり大人になってしまった今でも、そうした子供時代の記憶とともに、身に着けた思い癖や習慣というのは否が応でも残っているもの。
そして、そうした負の遺産が多くの人の心の中でいつまでも解消されることなく残存し、彼らが社会を支え担う中核的立場に置かれていく時、その当の社会は徐々に衰え、弾力性を失っていくのだと思います。
その意味で、5日(金)にやぎ座から数えて始まりであると同時に終わりを意味する4番目のおひつじ座で新月が形成される今週は、「どうしたら自分の内なる負の遺産を解消することができるのか」というところから、自分が今の社会に対してできること、しなければならないことを考えていきたいところ。
鍵となるのは、自分のルーツとなる記憶の光景であり、そこに潜む気持ちの軋轢や心理的不調和となるでしょう。
「成長」などしない
人間の心というのは、ほんとうに発達心理学が提示する成長モデルのように直線的な発達を遂げるものなのでしょうか。例えば「三つ子の魂百までも」という諺のように、私たちは別のモデルやイメージにも自然と親しんでいることに気が付きます。
環太平洋地域には昔から、子供の魂に祖父母や曾祖父母の魂との同一性を見出すという伝統がありましたし、人は家族の一員である以前に「個人」であるという発想も根拠をさぐれば、案外脆いものかもしれません。
今週はいつものように大人な自分、年相応な私というアイデンティティーのままでいようとすると、キツくなってきてしまうかもしれません。
逆に言えば、そういうものにこだわる心ををいったん外すことさえできれば、永遠に「成長」などしない自分自身、大人なんだか子供なんだか、個人なんだか集団なんだか分からないような、豊かで広がりのある世界が開けてくるでしょう。
今週のキーワード
めぐりあう時間たち