やぎ座
演じるべき態度を感じとる
負けるヒーロー
今週のやぎ座は、『燃えよ剣』の土方歳三のごとし。あるいは、「勝つ」という結果ではなく、あくまで姿勢を通してかっこよくあろうとしていくような星回り。
新撰組って、隊員にひたすら峻厳な規律を課したり、時には仲間内で粛清を行ったり、自害に追い込んだりして、やっていることは今でいうブラック企業どころの騒ぎじゃすまないことが多いんですよね。
特に「鬼の副長」として隊士たちに恐れられた土方歳三は、やっぱりかっこいい。特に司馬遼太郎の『燃えよ剣』の土方歳三は圧倒的です。
彼は最初から武士だった訳ではなく、元は「バラガキのトシ」と呼ばれた喧嘩好きの百姓の息子でした。それがあれよあれよという間に、京の町で無敵を誇る剣士となっていく訳ですが、彼がかっこいいのは、おそらく最後に負けてしまうからでしょう。
新撰組は敗北し、戊辰戦争では旧幕軍側指揮官として奮戦するも、最後は戦死してしまう。
ただ、今なお彼に根強い人気があるのは、自分が負けるであろうことを受け入れた上で、最後まで戦い抜こうとするその背中に、単純な強さ以上の何か見出していくからだと思います。
結果がどうであれ、そこへ向かってゆく姿勢がすっと伸びていること。妥協せず、甘えず、自分のしたことの責任を誰よりもまず自分で負っていること。そんな彼の姿を、思わず追っていくたくなるのです。
今週の、そして2019年のやぎ座の人たちもまた、結果にコミットするかっこよさだけにこだわるのではなく、「姿勢のかっこよさ」ということにシフトしていくことがテーマとなっていくでしょう。
人は誰もがパペット人形
とはいえ、何事においても「がんばる」という態度が異常に奨励されている日本社会では、 やると決めたら最後までやりぬこう、それが大の大人としての責務じゃないか、わが魂ここにありってところを見せてやろう! と歌いながらドツボへと突き進み、死んだ能面のような顔になっていく事例が後を絶たない。
しかし、果たしてかっこいい人生を歩んでいくには、そのような仕方でしかありえないのでしょうか。
日常の中で与えられた役割をより完璧にこなし、具体的な誰かの期待に少しでも応えていくことだけが果たして「生きがい」なのか。もし、そうした現実が夢だとしたら…?
今週は、現実よりもっと遥かなところから自分というパペット人形を上から吊っている操り手の指さばきを感じとり、そちらに応えていくくらいのつもりで、選ぶべき態度というものに自覚的になっていくといいでしょう。
今週のキーワード
生きがいは演じがい