かに座
想定外と想定内をバランスさせる
予定調和から外れた会話
今週のかに座は、『咳の子のなぞなぞあそびきりもなや』(中村汀女)という句のごとし。あるいは、身をもって受け止めていくやり取りをよくよく選んでいくような星回り。
冬がくると風邪が流行するのは今も昔も同じ。俳句の世界では、咳や鼻水、くしゃみまでも冬の季語になっています。掲句でも、家の子供が風邪をひいてしまったのでしょう。熱は下がったものの、まだ、こんこんと、いやな咳をしている。
それで外に遊びに出してやる訳にもいかず、子供も退屈だし、なんとなく心細いらしく、母親である作者に構ってもらおうとすがりついてくるが、家での用事を途中でやめる訳にもいかない。なぞなぞ遊びというのも、台所などで立ち仕事をしながら、子供が始めたのに付き合っているのかも知れません。
「なぞなぞです。下から入って下から出るもの、なあんだ?」
「……、わからない。」
「蚊帳でした!」
いつまで経っても終わらないが、かと言って、なぞなぞ遊びを続ける子供がなんだか不憫で無下にもできず、「もうおしまい!」という一言を口に出せないでいる。ただ、おそらく、それは子供が可哀そうだからというだけでなく、作者自身もそうした大人と普通に交わす会話とは異なる、子供との何気ないやり取りをどこかで深く気に入っていたのではないでしょうか。
12月5日にかに座から数えて「コミュニケーション」を意味する3番目のおとめ座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、大人の都合や会話の予定調和からはずれていくやり取りをこそ大事にしていきたいところです。
無理を減らして安心を増やす
東アフリカ・タンザニアのエヤシ湖周辺で1万年前と変わらぬ狩猟採集生活を送る少数民族ハッザ族のデータを見ていくと、たいていの男はいつも3~4人の決まったメンバーとチームで狩りに出かけ、あとの時間は家族とのコミュニケーションに終始しています。
おそらく、現代に生きる私たちにおいても本来いわゆる「親友」と呼べる数の上限はこれくらいなのではないでしょうか。SNSで1万人のフォロワーがいても、Instagramに写真をアップすれば即座に「いいね」が100以上はつくようになったとしても、精神が「興奮」するばかりで決して「満足」や「安心」などのシステムは活性化してくれません。
そもそも、人間の脳というのは人間関係を作るのが苦手なのではないかとさえ思いますし、おそらくはそうでしょう。ジャンプの漫画の主人公のように、たくさん友達を作る必要もないし、たくさん友達がいた方が人として価値が高い訳ではないのです。
今週のかに座もまた、3人なら3人、5人なら5人とある程度親密な人間関係のキャパを決めて、それ以外とは一定の線引きをしていくくらいのつもりで過ごしてみるといいかも知れません。
かに座の今週のキーワード
上限や範囲を決めてしまう