かに座
安らかな方へ
「這い出でよ」
今週のかに座は、「戦終る児等よ机下より這い出でよ」(渡辺桐花)という句のごとし。あるいは、ひとつの大いなる思い込みから自由になっていくような星回り。
作者は、戦前戦中と長らく学校の教師をしていた人で、自分の教え子の多くが戦地に赴いていたのだそうです。
8月中旬は夏休み真っ盛りで授業もありませんから、掲句は実際の場面について詠んだものとしてではなく、自分の教え子たちにむかって発せられた作者の心の声と解すべきでしょう。
その声が悲痛なのは、教え子たちが国からの命令に逆らう術を持っていなかったということを作者がよく分かっていたがゆえ。あるいは、自分自身もまた戦争へ向かっていった国家の命令に、間接的にとは言え加担していたという思いもあったのかもしれません。
そういう意味では、「這い出でよ」という呼びかけは自分自身にも向けられていたのだとも言えます。
そして自分を加害者と考えるのであれ、被害者の身に立つのであれ、ある種の思い込みやしがらみに囚われているうちは、決して“その次”に進むことはできません。
12年周期というサイクルで見た時に、ある種の生まれ変わりの時期に入っていく直前の、最期の夏を迎えているかに座の人たちにとって、今週16日(金)に迎えていくみずがめ座の満月は思いの深い部分での「断ち切り」が起きていきやすいでしょう。
息はどこに向かって引かれてる?
いわゆる大往生と言うのは、深く息を吐いたあとに亡くなることが多いそうですが、「息を引き取る」というのは、「潮が引く」のと同じで、「元に戻っていく力が働いている」のだと言えます。
つまり、“もと”のなにかに引かれている、あるいは、引っ張っている何かがそこに現れている、ということなのではないかと。
では、この“もと”とは一体なにか?
(かみさま、自然、宇宙など)息を引かれていくということは、宇宙に帰るとか、自然に帰るとか、そういうことなんですね。
そうすると、そこにはただ無機物としての自然が広がっているわけではなくて、われわれを引き取ってくれている何かがあるということ。つまり、吐く息が合う相手とは、まさに同じところへ帰っていこうとしている相手ということなんです。
あるいは、共に息を安らかに吐くことのできる仲というのは、引き取ってくれている側と引かれているこちら側がスムーズにつながっている、歩調が合っているということの証しなんです。
今週は、そうした自分をスムーズに引いてくれる大きな呼吸の中で、息を深く吐けるよう自然と調整していくことがテーマとなっていくでしょう。
今週のキーワード
息を深く吐くことが大切