おひつじ座
生まれ変わり死に変わり
同じ1つのものの2つの現れ
今週のおひつじ座は、「遠きひと近き人など呼びてをりかぐはしきかなあちらの時間」(辺見じゅん)という歌のごとし。あるいは、自分の人生を<もう一人の自分>と分かち合う感覚を呼び覚ましていくような星回り。
「近き人」と言えば、この世での家族や友人のことだろうが、「遠きひと」とはこの場合、この世では近しい結びつきまで至らなかった人のことを指すのだろうか。
「あちらの時間」は明らかに死後の世界のことを暗示しており、作者はこの世よりむしろこの世ならぬ世界の方に親近感を覚えており、必然的に思いは「近き人」より「遠きひと」の方に寄せられているように感じられる。
確かにひとつふたつの偶然が重なれば、近き人は遠きひとであったかも知れず、逆に遠きひとは近き人になっていたかもしれない。
今週は自分に訪れた偶然の重みを噛みしめつつも、にわかにもう1つ、別の人生へと開かれていくようなところが出てくるだろう。
生イコール死
死後の世界などないと考える人は多いように、影などないと普段私たちは思いがちだが、実際はどうなのだろうか。少なくとも死後の世界や影が存在すると考える方が、私たちは謙虚でいられるように思う。
ここでミヒャエル・エンデの『モモ』において、主人公モモが神のごときマイスター・ホラ(時の司)に向かって、「あなた(時間=生)は死なの?」というまるで禅問答のような問いかけをしていたのが思い出される。
マイスター・ホラはそれに対して何と答えたか。いわく、
「もし人間が死とはなにかを知ったら、こわいとは思わなくなるだろうにね。そして死をおそれないようになれば、生きる時間を人間からぬすむようなことは、だれにもできなくなるはずだ。」
この後、モモは死について、「わたしはこわくない」と言うのである。つまり、モモは悟っているわけだ。実際には、そこまで一足飛びにはなかなかいけないけれど、そうありたいと願うことは決して無駄な試みではないでしょう。
今週のキーワード
生とは一瞬一瞬の飛躍の鼓動であり、死である