おひつじ座
選ぶことで強くなれる
「わたしは女」
今週のおひつじ座は、2017年のロサンゼルスのウィメンズ・マーチで行われた「アイ・アム・ウーマン」を歌うパフォーマンスのごとし。あるいは、みずからの強さや身体に関する主体性を改めて主張していこうとするような星回り。
「わたしは女、わたしが叫ぶことを聞け
もはや無視なんてさせない
後戻りしたり、偽ったりするのなんてもううんざり
わたしはすでにそんなこと聞き飽きた
暴力を振るわれ床に押しつけられてきたけど
もう誰にもわたしに対してそんなことはさせない」
当時、トランプの大統領就任に抗議するために行われたこの集会で、オーストラリア系アメリカ人シンガーの草分け的存在であるヘレン・レディが70年代フェミニズムの象徴となった「アイ・アム・ウーマン」を歌ってみせたことに関して、五十嵐舞さんは「複数の「わたし」による連帯」という論考のなかで哲学者ジュディス・バトラーに基づきつつ、そこに含まれた二つの意義を指摘しました。
第一にミソジニー(女性蔑視)が根づよく残っている社会に対する挑戦として。そして第二には、「わたし「は」女」という主張によって規範的な「女」という記号を内部から突き崩し、新たな「女」という概念を立ちあげていく契機として。
2月18日におひつじ座から数えて「自尊心」を意味する2番目のおうし座に位置する天王星(覚醒)が土星(現実)と90度の角度をとって激しくぶつかっていく今週のあなたもまた、みずからの根源的な依存性を否定するのでも、みずからがこれから傷つく可能性を否定するのでもない仕方で、本当の意味で自尊心を取り戻していくための戦いに身を投じていけるかが問われていくでしょう。
分かれ道をゆく作法
昔から、分かれ道に大きな樹が一本生えている三叉路が好きでした。夜そこを通ると、昼間とはまったく別人のように暗い影を落としていて、こちらの心を試し、迷わせるのです。
どちらの道をゆくべきか、勘だけで決めるのですが、何度かやっていると、たまに「あ、こっちで正解だった」と妙に手ごたえを感じることがあります(散歩なので、本来ならばべつに決まった正解などありません)。
おそらく、それは雰囲気に流されないで、自分の体調や気分にマッチした方の道を選べたということなのだと思います。考えてみれば私たちは、純粋に自分のことだけに集中して何かを選択をするということがほとんどできていないか、たまに出来たとしても苦手としているように思います。
いつも頭に誰かの顔や視線が浮かんでその相手の意図を無意識のうちに汲みとって行動していますし、実際に誰かと一緒にいる場合は相手に選択の主導権を押しつけていたりする。
ですが、今週はあなたの番です。誰かの顔色をうかがうのではなく、ただ自分の身体や感情と対話しつつ、歩くべき道を選んでください。たとえその誰かとの繋がりが途切れていくとしても。
今週のキーワード
横尾忠則『全Y字路』