みずがめ座
ちょっとずつズラしていく
内と外との区別を薄くする
今週のみずがめ座は、「ほわほわしたもの」としての心のごとし。あるいは、分かったようなつもりになっている状態から降りていこうとするような星回り。
現代社会では、まるでみながみな心理学者や精神医学者にでもなったかのように、「〇〇はメンタルが強い」とか「〇〇は精神的によくない影響を与える」などと語りがちであり、ともすれば「精神」や「意識」、「動機」や「気質」などの抽象的な概念で心を扱おうとする傾向があるように思います。
とはいえ、日本には「心づくし」「心おぼえ」「心あてに」「心付け」などといった和語もあったように、心というのは歴史的に「察するもの」であったり、「ふと」その痕跡や温度を感じたりするような、もっと「ほわほわしたもの」であったのではないでしょうか。
例えば、英語やドイツ語などのヨーロッパの言語とは違って、日本語というのは母音と子音がはっきり分かれていないという特徴があります。これは両者の空間感覚にも反映されていて、子音を強調するヨーロッパにおいては、建物の壁もぶ厚く、外からはっきりと区別された内部空間をもった造りになっているのに対して、日本人のつくる家や建物というのは内と外をそれほど区別してきませんでした。庭の文化があって生け垣をつくるなど、部屋の中にいても外が体験できる造りになっている。こういうことも、やはり「ほわほわしたもの」としての心の感覚と通底している訳です。
その意味で、16日にみずがめ座から数えて「関わり方」を意味する7番目のしし座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、なんだか固くてゴツゴツしたものと関わる代わりに、もっと出没自在でいたずら好きな妖精のようなものと関わろうとしてみるべし。
偶然を活かす方法
人生はさまざまな「ふと」や「たまたま」、そして「もののはずみ」によって左右されており、そのことを私たちは時に「一寸先は闇」と言ってみたり、「青天の霹靂」と言ってみたりして、その都度心を一喜一憂させていきます。
ただ、そうして生まれてから死ぬまでたくさんの偶然にさらされ続け、多くの重要な選択を余儀なくされているにも関わらず、そうした偶然を活かすための方法について、なぜか学校では何も教えてくれません。
例えば、「初対面の人にまずどんな言葉をかけようか」という場面なら、自分がどれくらい挨拶のボキャブラリーを持っているにせよ、そこに相手の状況や自分の気分がもたらす偶然が組み合わさっていくことで、ほんらい選択肢は無数に分岐していきます。
そして、偶然を活かす方法とは、そうして幾つかの選択肢を想像した上で、できるだけ心地よさを感じるものを選んでいくこと。それだけです。そこには唯一の正解という発想はなくて、ただその都度の文脈に応じて、よりよい調和に向けこれまでの自分やお決まりのパターンをズラしていけるかどうかが大切になってくる訳で、それこそ「ほわほわしたものとしての心」が「ほわほわ」たりえる由縁なのだとも言えるでしょう。
今週のみずがめ座なら、そうした何気ない試みのなかで、少しずつ自分の中の壁がうすくなっていくことを実感できるはず。
みずがめ座の今週のキーワード
進化の袋小路から離脱する