みずがめ座
奥の院参り
心のチャンネルを合わせる
今週のみずがめ座は、本堂の裏手にまわって「奥の院」へと通じる山道を登っていくような星回り。あるいは、より成熟した視点を取り入れていく中で、これまで歩いてきた道のりや出来事に意味を見出していくこと。
人は誰しも、自分の心の奥に自分だけの聖域を持っており、そこには自分に関するすべての秘密の入った黒い小箱があります。
しかもそれは飛行機のブラックボックスのように、これまで自分に起きた出来事や心の動きの一切を記録していると同時に、ラジオのようにチャンネルさえきちんと合わせれば、そうした情報の一部を私たちに伝えてくれるのです。
ラジオは脳を派手に刺激するものではありませんが、いつの時代も、そのときどきの時代のメロディーを聞かせてくれ、人間の心とは何かを提示してくれます。
今週はそんな心のラジオが流してくれる音に、いま一度耳をすませていくことで、大切な教訓を得ていくことができるはず。
過去の自分の声を聴く
苛立ちや不機嫌が困るのは、誰かから発せられると、人々のあいだに伝染していき、触れるや否やたちまちのうちにそこへ巻き込まれてしまう点にあります。
そして、思うようにいかない現実を前にしたとき、人は不機嫌をまき散らし、多くの他者を巻き込みながら、「うまく行くはずもなかった」といった悲観的な宿命論へと落ちていくのです。
ただし、哲学者のアランは宿命論に対し、次のように釘を差しています。
「宿命論によると、かつて存在しなかったものは、存在しえなかった(つまり、運命のうちに存在しえなかった)ことになる。これは後悔を追い払う。(中略)宿命論が後悔を追い払うのは、人ができることをすべて出し尽くした場合にかぎる」
と。
つまり、過去の定めをバネにして行動し続ける限り、宿命論は悲劇的なものではないということ。
そういう意味では、たとえ黒歴史のようなものであっても、何かしら未来の行動につなげていくことができる限り、そこには意味があり、学ぶべきことがあり、ヒントがある。
今週はそんなラジオがどこにあるのか、そこにどんな宿命のメロディーがあるのか、あたりを見渡してみるといいでしょう。
今週のキーワード
壊れかけのラジオ