
みずがめ座
新世界へ

自称スター・チャイルドとして
今週のみずがめ座は、『2001年宇宙の旅』のラストで地球を見下ろすボーマン船長のごとし。あるいは、これから自分は何をなしていくべきか、思いを巡らしていくような星回り。
スタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』は人類の新たな意識の目覚めを描こうとした意欲作であり、さまざまな偶然が重なって神がかり的な作品と言えます。
まずこの映画のアイコンで「宇宙的な意思の象徴」として登場するモノリスは、第1部では類人猿の進化を見守るように岩山の上に立っていたのが、第2部では月で発見され、木星に向かって強力な電波を発信していることが判明する。そして第3部では人工知能HALとの死闘を繰り広げたボーマン船長を木星の衛星軌道上で迎え、未知の無限空間の中へと導いていきました。
で、こうしたストーリーを読み解く鍵となっているのが、宇宙船ディスカバリー号の造形をキューブリックが「精子」をモチーフにデザインさせたと言われてること。「宇宙的な母性」としての月にあったモノリスが、太陽の光すなわち「ロゴス的な力」にふれて、それがある種の受胎告知としての突発的な変異をもたらし、覚醒したボーマン船長はひとりポッドにのって宇宙的な受胎現場としての木星近辺を漂っていたモノリスに接近した。
すると、巨大モノリスは漆黒の闇に消え、そのあたりの空間から発した光の奔流がポッドを呑み込み、異次元の光景が次から次へと押し寄せて来る。やがて、閉鎖された白い部屋にポッドごと到着すると、そこでボーマンは、年老いて行く自分自身を順々に発見し、遂には老衰してベッドに横たわるボーマンの前に再びモノリスが現れ、彼がそれに向かって指を差し伸ばすと、光に包まれた胎児に変貌し、ボーマンは人類を超越したスター・チャイルドへと生まれ変わるのです。
4月13日にみずがめ座から数えて「求道」を意味する9番目の星座であるてんびん座で満月(感謝と解放)を迎えていく今週のあなたもまた、さまざまなことを思い出していくはずですが、それだけで終わるのでなく、さまざまに志していきたいところです。
引いて、越していくこと
現在というものは、未来からくるものです。私たちは何も考えず生きていても自動的に過去から未来に移っていると思ってしまっていますが、これはとんでもない勘違いでしょう。
たとえば「引っ越し」というのは、過去から未来に「引いて」、「越す」と書きますが、これは言い換えれば、生きるということは絶えず「バック・トュー・ザ・フューチャー(後ろ向きの前進)」なのだということの端的な表れなのだと言えます。
そう、だから私たちは時どき、古い世界から身を「引いて」、新しい世界へと「越して」いかなければならないんです。
そうしないと、古い自分に閉じ込められて、過去に自分が作り出した残像に執着したり、迷いの世界にさまよい込んでしまうから。
その意味で今週のみずがめ座は、幸せの在り処が過去にではなく未来からやってくるものなのだと思い直し、「引っ越し」しを試みていくタイミングなのだと言えるでしょう。
みずがめ座の今週のキーワード
後ろ向きの前進





