おうし座
花香り立つまで
メビウスの輪
今週のおうし座は、「曼珠沙華女には紐あまたあり」(三好潤子)という句のごとし。あるいは、自分のなかに育み伸ばしていくべき資質を、改めて見出していこうとするような星回り。
作者は「曼珠沙華」の花が特別に好きだったようで、しばしば自分に重ねた句を詠んでいましたが、掲句にはどこか昂ぶる自分を見つめているもう一人の自分の眼差しを感じます。
女にまといつくあまたの紐。それを見つめる眼は、醒めていれば醒めているほどに淋しく悲しい。そして、その淋しさや悲しさは、だから、昂ぶる心に身を任せることでかろうじて癒されているのかもしれません。
醒めた眼から昂ぶる心へ、昂ぶる心から醒めた眼へ。そうした反復を何度も繰り返しながら、またその繰り返しのたびに、この俳人は命の輝きとも言うべき生の実感を燃焼させていきました。
29日(日)におうし座から数えて「自己鍛錬」を意味する6番目のてんびん座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、今後の人生で何度も繰り返していくだろう癖やルーティンを、自分が大切にして磨き上げていくべき資質として見なしていけるかどうかが問われていくことでしょう。
一輪の花として立つ
作者のように、自分の好きな花を何度も繰り返し眺めていると、だんだんと自分が風に揺れる花そのものになってしまったように感じられてくる時ってあるのではないかと思います。
花が根から養分を吸い上げ、葉で光合成や呼吸を行うことではじめて開花するように、人もまた自分が作りあげた習慣や生活から記憶を吸い上げ、そこにその時々の思いを混ぜていくことで、はじめて何かを自分の言葉にしていくことができるもの。
あなたは今どんな習慣や生活の上にたち、そこで何を思い、どんな映像を頭にのぼらせていますか?
さながら一輪の花になったつもりで、風にそよぎ、人の間で揺れていくことで、自分というものが以前より明瞭に見えてくるはずです。
今週のキーワード
自分自身の世話をすること