おうし座
新たなセルフイメージを纏う
希望と直感
今週のおうし座は、「終の地の雲輝けば秋燕」(角川春樹)という句のごとし。あるいは、そうであってほしいような自分を演じていくような星回り。
秋燕とは、秋になって南の国へと帰っていくツバメのこと。しかし、実際にそれを目にすることは珍しい。
おそらく、作者もまた自分の眼のまえを飛んでいった名もなき鳥を、「おれのまえを飛ぶんだから秋燕だ」と、しめたと思って句にして詠んだのではないかと思う。
ぶっちゃけて言えば、もう飛んでいればなんでもよかったんでしょう。季語なんてものは、半分実在しているけれど、半分は見えちゃいないというか、自分の感覚だったり、勘なんですよね。
こうした作者の感覚は、今週のあなたにとっても非常に大事になってくるでしょう。
つまり、自分という名もなき存在をどういう風に人に見せていきたいのか、ということを、どこか勘で展開していくというか。
ああこれだ! という感覚と、実際に自分がそうなっていくということを自然に繋げていく。
それは自己ブランディングとか、コンサルタントにチェックを依頼するとか、そういう話以前の、どういう方向に希望を見出していくか、という根幹の部分の話。
クレーの天使
人のため世のためとか、そういう道徳臭い想像力の使い方もまた、今のあなたにとっては無用の長物以外何物でもないでしょう。
例えばパウル・クレーが日記に書いていた夢の話に、日本人の芸者に三味線の音を所望する次のようなくだりがある。
「心が誘惑に駆られると、たちまち私の耳はかすかに戸を叩く音をとらえた。その音に誘われていくと、小さな守護神が表れ、可愛らしい手をさしのべ、私を天界にそっと連れて行った」
こうした偶然の一致の感覚と自分を軽やかに浮遊させていく想像力は、先の角川春樹の俳句とも通じているように思う。
そしてそれこそが、既存の価値基準にとらわれない、ある種の宇宙的な想像力をさらに純化し、結果的にあなたに新たなスタートを切らせる原動力となっていく。
なお、クレーにとって「天使」とは、「傷つきやすさと極端な脆さを持ちながら、われわれ人間を保護する神的な存在」のことを指しているらしいのですが、これは今週のあなたにとって理想的な想像力の使い方を人物的に象徴したものと言えるかもしれませんね。
今週のキーワード
イメージの衣がえ