さそり座
未来の注視×リスクの監視
嘘と罠を見破るべく
今週のさそり座は、陥穽をキャッチする感性の冴え。すなわち、決定的なところで騙されないようにきちんと防衛線を張っていこうとするような星回り。
アメリカの社会心理学者スタンレー・ミルグラムによる有名な「隷属行動の研究」実験では、人びとは「命令に従うことが社会をより良くするために自分が果たすべき責任である」と信じた場合、どんなに残酷な命令であったとしても、良心の呵責をまったく感ずることなくそれに従うことができる、ということが示されました。
特に、日本人や日本社会は権威的な指導者による命令に弱いところがありますから、例えば「罪のない人たちは殺されるべきではないし、殺されてもいいという言動には断固反対する」といった、越えてはならない一線というものを引いておくことが大切になってきます。また、ナチスや戦中の日本軍などを例に、「権力者やリーダーはどのように嘘をでっち上げるか」などについてのある程度の知識を得ておくことも必要でしょう。
人間の本性には「共感」や「道徳性」、「自己制御」、「問題解決志向」などの側面だけでなく「復讐」や「攻撃性」などのネガティブな側面もあり、それらはともすると「恐怖」や「被害妄想」「妄信」などの危険性に陥る傾向があります。今ますます社会が混迷を極めていく時期だからこそ、それらを回避するために民衆をおとしいれる「陥穽(おとしあな)」をきちんと見抜くだけの批判力と知識が一層求められていくように思います。
9月7日にさそり座から数えて「中長期的な未来」を意味する11番目のおとめ座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、そうしたある種の「社会的知性」の発揮に注意を向けていきやすいでしょう。
良心の疼きに反してはならない
彼がいまやっていることは、すべて立派で、道義的なことだ。——しかし彼はそのことに、良心の疼きを覚えている。なぜならば、並外れたことを行うのが、彼の使命だからだ。(ニーチェ、『喜ばしき知恵』)
偉大な業績を残した人物というのはしばしば生きているうちに賞賛者をほとんど(全くではない)得ないように、みずからの良心のみに従い続けるということも、確かに並外れた魂の持ち主に共通するすぐれた資質と言えるでしょう。
もちろん皆が皆、そうした魂の在り方を踏襲する必要はないですし、それだけの機会や能力に恵まれている訳ではありませんが、いずれにせよここで大事なのは、その時代の社会が設定している良し悪しの基準など、取るに足らないちっぽけなものだということです。
心の奥底から知りたいことや言いたいことがあるならば、それが‟正しい”かどうかなど、気にする必要はないのです。ただ、その知りたい、言いたいことのの重みをみずからの魂において引き受けつつ、みずからを媒介させていくべし。
さそり座の今週のキーワード
一見道義的で同情的なリーダーには気をつけよう