しし座
汝らしずまりて
はじめに余暇を持て!
今週のしし座は、「観察」とは区別された純粋な「受け入れ」行為のごとし。あるいは、前向きに生きていく上で不可欠な活動を労働から切り離していこうとするような星回り。
現代社会では人間のあらゆる活動が「労働」という概念へとますます取り込まれ、「寸法をとる」とか「数える」といった作業だけでなく、知らず知らずのうちに「もの思いに耽る」とか「対話を重ねる」といった精神的な活動までもがトータルに管理対象になってしまっているのが現状なのではないでしょうか。
20世紀のカトリック哲学者のヨゼフ・ピーパーは、例えば「見る」という行為でさえも、一種の身構えや緊張感を伴えば、それは「労働」の一種(何らかの利益を得るための「観察」)なのだと断じています。そして、それとは反対に、純粋に「見ること」「直観すること」「眺めること」は、身構えないで、むしろ自分を開く態度であり、それは言葉本来の意味での「余暇」において初めて可能になるのだと。
ピーパーによれば、余暇とはただ何もしていないこと(怠惰)やじっとしていること(無為)、「内面的な静けさ」を指すのではなく、「開こうとしているバラの花、子供の寝顔、ある神的な秘儀などを一心に見つめるときに私たちが元気づけられる」のに似て、小さな自我を抜け出し、世界全体のリズムを受け入れ、調子が合うときに生み出される、「いのち」への厳かなで力に満ちた肯定の時間なのだと述べています。
その意味で、2月6日に自分自身の星座であるしし座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、「余暇のために働くのだ」と心から言えるほどに、余暇の質を深めていくことがテーマとなっていくでしょう。
生産性以外の基準
本来私たちが持ち得ている肉体というのは、世界のリズムに調子を合わせるべく、人工的に再現しようとすれば一つの広大な敷地を有する工場が出来上がってしまうくらい複雑な機構がギュッとコンパクトに詰めこまれているのですが、私たちはそんな工場の生産性だけは享受する一方で、しばしばメンテナンスを忘れ、またそれらの美しいデザインに感嘆する気持ちさえなくしてしまいがちです。
都市に暮らし、車を乗り回し、一日中パソコンの前に座るようになってからというもの、ピーパーの言うように、人間はどうしてもコスパや生産性といった基準でしか自分という存在や、それを基礎づけてくれている肉体を見れなくなっていき、それ以外の時間(余暇)が在りようを思い描くことさえ稀になってしまっているのです。
文明以前の、かつての人類は、何を食べるか、それがどこにいるか、どのように生えるかについて常に考えながら生きていました。農耕の始まりまで、人間は植物が見分けられなければ生き延びられなかったし、おいしい食べ物を与えてくれた自然に尊崇の念を抱くとともに、毎日毎分毎秒きちんと働いて自身を生かしてくれている肉体にも感謝や労わりの念を強く抱いていたはず。
その意味で、今週のしし座は、例えば胃や腸をケアするところから、改めてただ在ることの尊さに思い至っていきたいところです。
しし座の今週のキーワード
DoingとBeingの比率調整