しし座
いのちしみじみ
最強の健康法
今週のしし座は、『白湯一椀しみじみと冬来たり』(草間時彦)という句のごとし。あるいは、みずからに与えられた使命やドラマを深く心にしみ込ませていくような星回り。
冬は寒いだけでなく、乾燥の季節でもあります。したがって立冬を過ぎたあたりから水分補給は特に大切になってくるのですが、逆に言えばただでさえ血液中の水分が減って血が濃くなり、場合によってはドロドロになって血が行き届かなくなってしまうことも…。
そこで昔からこの時期に特に重宝されてきたのが「白湯(さゆ)」でした。ただのお湯じゃんと侮るなかれ。コーヒーなどと違って内臓に負担をかけることなく体を温め、胃腸の働きを高めて血の巡りをよくし、さらに体にたまった毒素まで洗い流してくれる。まさにいのちを繋いでくれる最強の健康法なのです。
作者は若い頃に病気で学業を中断するなど苦労した人でしたから、30歳をこえてやっと働き始めてからも、とりわけ季節の変化に応じた体との付き合い方には神経を配ったはず。だからこそ、起きぬけの「白湯一椀」は、作者にとって文字通り「しみじみ」とみずからのいのちを感じる瞬間だったのでしょう。
その意味で、24日にしし座から数えて「再誕」を意味する5番目のいて座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、運よく拾うことのできたいのちの養い方や使い道についてよくよく思い定めていくにはちょうどいいタイミングとなっていくように思います。
霊的な健康
かつて1999年のWHO(世界保健機構)総会において、「健康の定義」をめぐり従来の身体的・精神的・社会的な状態に、「霊的(スピリチュアル)な状態」を付け加えようという提案がなされたもののついに否決されたということがありました。
いまなお「霊的」などと書くと、とたんに胡散臭い印象を持つ人は多いと思いますが、それは本来、前世や守護霊やカルマや救済などのパワーワードと関連するより先に、季節の移りかわりや自然や宇宙の大いなるサイクルと調和した状態を指していたのだと思います。
例えば、昔も今も人類は地上の覇権を争うべく、盛んにいがみ合っていますが、自己保身のためでなく、自分より大切なもののために空に祈りを捧げることを忘れずにいることこそが霊的な健康の秘訣なのです。
そして、そういうことを思い出すためには、掲句の作者もそうだったように、人はどうしたって痛みや苦しみを通り抜けなければなりません。今週のしし座もまた、自身自身についてそんな霊的な健康の側面から見つめ直してみるといいでしょう。
しし座の今週のキーワード
祈る対象をもつこと