しし座
裏にまわる
※12月13日〜19日の占いは、諸事情により休載いたします。誠に申し訳ございません。
次回は12月19日(日)午後10時に配信いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
死から生にすすむ
今週のしし座は、岸田衿子の「アランブラ宮の壁の」という詩のごとし。あるいは、あべこべな道行きをあえてゆくような星回り。
スペインの古都グラナダにあるアルハンブラ宮殿のことを、その土地の人たちは「アランブラ宮殿」と呼ぶのだそう。13世紀に建てられたイスラム人の王様の宮殿は、整然とした均衡美を残したまま鎮まりかえっているのですが、詩人の岸田衿子はひとりであちらこちらに出たり入ったりして迷った経験をこんな詩にしています。
アランブラ宮の壁の/いりくんだつるくさのように
わたしは迷うことが好きだ
出口から入って入り口をさがすことも
おそらく、真ん中の一節を言いたいがための枕言葉としてアランブラ宮のつるくさ模様は呼び出されたのでしょう。そして、出口を「死」、入り口を「誕生」と考えれば、作者は死から逆に生のほうに進むことだってあるじゃないか、と言いたいのでしょう。または、そういう風にしか生きられない自分のあまのじゃくぶりを、どこか突き放した視点から見ているのかも知れません。
確かに、死はそれでおしまいなのではなく、何か別の世界への入り口です。同様に、11日にしし座から数えて「生々流転」を意味する8番目のうお座で上弦の月(行動の危機)を迎えていく今週のあなたもまた、そんな風に別世界の扉を開けていくべし。
彼に対抗して
では、別世界の扉とはどこにあるのか。ここで思い出されるのが、人類初のカップルであるアダムとエバのいきさつです。ヘブライ神話には、次のように語られています。
主なる神は言われた、「人がひとりでいるのは良くない。彼のために、ふさわしい助け手を造ろう」
この後、神はアダムのあばら骨からエバを造る訳ですが、そもそもアダムという名は「土」を意味するアダマーから取られており、二人のあいだに優劣や上下などはなかったのではないでしょうか。そして、何より注目すべきは、「彼のために、ふさわしい」の箇所は原文を厳密に訳すと「彼に向き合って」「彼に対抗して」という意味となること。
愛する二人の関係については、互いに見つめ合うのではなく、並んで同じものを見ると良いなどとよく言われますが、ユダヤの古典においては、相手の正面に立つべきとされている訳です。果たして、そこから何が見えてくるのか?それは相手の背後であり、死角であり、視界から欠けている領域であり、必要があれば互いにそれを知らせる存在として二人は関係していたし、別世界の扉を開けるということも、そういうことなのかも知れません。
同様に、今週のしし座もまた、自分にとって死角だった視点を取り入れることで、別世界に入っていくにはちょうどよいタイミングと言えるでしょう。
しし座の今週のキーワード
出口から入って入り口をさがす