しし座
エゴイズムの渦となれ
不幸の源泉をめぐる神話
今週のしし座は、響きの魔力に取り憑かれていくような星回り。あるいは、自分の観点へと否応なしに周囲の人間を引き込んでいくこと。
わだかまりを断ち切ることも魂の力ならば、あえてわだかまりになるかもしれない縁を結び、そこで他者に痛みを与えていくこともまた魂の力と呼ぶことができるだろう。
かねてより社会では、不幸の源泉は我欲にあると教えられてきた。「汝の我欲こそが、汝の生の禍いである」 何千年にもわたって説かれ、何百回ともなく繰り返しノート書きつければ、誰しも実際そうなのだろうと思うようになる。
しかし、それは本当だろうか? 確実な根拠はあるのか?
我欲から多くの才知や、独創性、そして美が生まれてくるということはないのだろうか―――それは、ある!70年前ならまだしも、今ならそういう光景を見たことがあるだろう。
人の我欲に無自覚に巻き込まれるくらいなら、自らエゴイズムの渦となれ。それが一等大事なことだ。
我欲か、無知か
我欲を醜悪で有害なものにした張本人は、「我欲こそが不幸の源泉である」というあのエゴイズムへの否定を信念とする説教であり、我欲それ自体がその犯人である訳ではない。
そうした説教を繰り返してきた一方で、ソクラテスの系譜に連なる哲人たちは、 次のように語ってきた。
「ただ無知こそが、つまり所与の規則を従順に受け入れ、その意味するところを知ろうともしない魂の怠惰こそが、諸君がまれにしか幸福を手にすることができない理由なのだ。」
友よ、我欲を否定し、自らの無知蒙昧な愚劣さに逆らうべし。いや、もっと強く言おう。あなたはすすんで愚劣さをいたぶるべきであり、そのわだかまりの中心に立つべきだ。
今週のキーワード
いたぶる勇気