かに座
残酷な定めにハイ喜んで
内なる少年の奔走
今週のかに座は、『残酷な天使のテーゼ』のごとし。あるいは、他人に押しつけられた要求など一顧だにせず、自らのなすべき定めを喜んで行っていくような星回り。
「残酷な天使のテーゼ 少年よ神話になれ」という歌いだしで始まる、及川眠子さん作詞のこの曲ですが、登場人物は私(女性)と少年で、タイトルはその天使の如き少年の残酷な定めについて言及したものでしょう。
世の男性が自分の内に必ず自分なりの少女の像を持っているように、女性の中にもまた必ず内なる少年が住んでいるもの。今週はそんなあなたの中の少年が不意にどこかへ走り始めていくような動きがありそうです。
少年は剣のような鋭さで、あなたを縛り付ける因縁絆、あるいはぬるま湯状態の状況そのものを残酷に切り裂き、寒風を呼び込むでしょう。一瞬、言い知れぬ寂しさや不安、かなしみに襲われることもあるかもしれません。
しかし、いずれも「嘘のない人生」を切り開いていくためには必要なことなのです。自分の真の感情を取り戻すことと、残酷さはときに表裏一体。そんなことを実感する週となるでしょう。
残酷の兆しとしての美しさ
残酷さと言うと思い出すのが、映画『リリイ・シュシュのすべて』の音と風景。
気分が暗くなる描写の多い鬱映画としても名高いこの作品ですが、個人的に思い出されるのは、一面に広がる田園風景とピアノの音色だけ。
点描のように豊かな色彩感覚と、儚げなドビュッシーのアラベスクなどのピアノの音に導かれ、えんえん続く緑の田園を見続けていると、綺麗だなと思う反面、それが残酷な出来事の兆しへと変わっていくようで、どんどん精神が研ぎ澄まされていくのです。
今週は、上っ面の平静さやこれまで通りの日常を守ろうとすればするほど、それを壊したいという欲求がどんどんエスカレートして歯止めがきかなくなっていくかもしれません。
くれぐれも、綺麗事や小さな嘘で自分の日常をガチガチに固めないよう、注意してください。見栄とかプライドは、いざという時あなたのことを、一ミリも守ってくれませんから。
今週のキーワード
リリイ・シュシュのすべて