かに座
音と歌が流れ出す
行きつ戻りつアイデンティティー
今週のかに座は、三線を抱えた黒人ミュージシャンが、即興的に島唄とブルースを掛け合わせていくような星回り。あるいは、人や場の力を借りて自分が得てきた経験やつむいできた物語を総合し、結集していくこと。
時間を巻き戻せば、黒人に見える目の前の人物も、そのルーツにおいて沖縄となんらかの繋がりを持っているかもしれません。 彼には彼の人生とその物語があるように、彼の親やそのまた親にも同じように特有の物語があって、それらは時間を逆流させ、世代を結ぶ縁をぐるりと回転させていきます。
そして、無数の小さな島々がやがてひとつの群島としてのまとまりを持ち、名称が与えられ島民性が育まれていくように、人は時に個体を超えたつながりを自分のアイデンティティーにしていくことがある。
今週は自らをとりまく時間の流れや、見聞してきた物語を柔軟に結びつけていく中で、自分にとっての世間との共生的なリズムを刻んでいくことができるでしょう。
ボカロPとボーカロイド
「自分はこうなんだ」とか「これは素晴らしいんだ」という思いがあっても、それが歌われることがなければ、誰かの心を動かすこともないでしょう。
歌というのは、誰がどんな場面、声、身振りで歌われるかによって、異なる意味と切り口が生じ、だからこそ、時代を超えて歌い継がれていくことがあるもの。
例えば、ボーカロイドが出始めたばかりの頃、使う人にそれを使って売れたいといった意識は恐らくほとんどなかったのではないでしょうか。とにかく新しいメディアを通して自分の歌を聴いてもらって、何かしら反応をもらえる喜びこそが、創作活動の原点になっていたことと思います。
それは関わるものへの純粋な贈与であり、生きづらさを少しだけ解消してくれる解放の機会なのです。あなたの震える声が、手足こそが、あなた自身の価値や豊かさを生み増やしていくはずです。
今週のキーワード
過去と現在のハイブリッド