かに座
不足と余剰
人生の添削作業
今週のかに座は、たくさんの言葉をそいでいくような星回り。すなわち、そげば“入る”。そのことを淡々と実践していくこと。
詩歌も俳句もとても短い言葉による表現形式ですが、不要なことばをそいで落としきっていくことで、かえって残った言葉の韻律や働きだけでも、複雑で巨大なイメージやたくさんのことが見えてきたりする。
だから「そぐ」という言葉は「削ぐ」とも「殺ぐ」とも書きますが、そこにこそ表現する者の巧拙を超えた個性が出てくる訳です。
今週は、かに座から数えて1つの社会的到達点を意味する10番目のおひつじ座に太陽が入り、同時に出自や背景を意味する4番目のてんびん座で満月が形成されていきます。
かに座にとって、この4番目の星座(「なぜ」という動機)と10番目の星座(「どのように」という方策)を結ぶラインは、自分はどこから来てどこへたどり着くのかという、まさに人生のアウトラインを表していきます。
ただその際、ついつい思い余って、たくさんの言葉で思いの丈を語りたくなるのがかに座のサガ。
そこはグッと我慢して、できる限り湧いてくる言葉をそいでいくことで、確かな光を放ちながら、揺らぐことのない思いの結晶体を磨き上げていきたいところです。
余剰を研ぎ澄ます
この世界というのは、いついかなる時、いかなるところであっても何らかの矛盾や違和が必ず起きてくる場所であり、綺麗に予測通りに事が進むということはまずありえません。逆に、そうでなければ宇宙は静的な完成到達点へとっくに達していたでしょう。
生命や人生が現に示している事実は、霊と物、意味とカタチが決して完全には調整されておらず、これからも不確かな未来はまったく別様にも代わり得る。
そう信じているからこそ、不確定性が紛れ込む余地として、「やり過ぎ、言い過ぎ、夢見過ぎ」という三大余剰こそが変数となって、この世界は変わっていけるのです。
逆説的な話ではありますが、言葉をそぐ時にこそそうした自分の中の余剰が明らかになってくるのだと思います。
今週はそれくらいのつもりで、他の人からすれば意味不明なこだわりへと、自信を持って邁進されていってください。
今週のキーワード
変数としての余剰