かに座
暗中模索と予感の光
「信じる」とは暗闇の中でも進み続けられること
今週のかに座の星回りは、「未来に向かって後ずさりしながら進んでいく」(コリングウッド)人間の姿のよう。あるいは、夢とか自己実現とか、そういう「ごまかし」に惑わされないための一手を打っていくこと。
未来はたえず私たちに差し迫ってきており、私たちは第六感や知性を超えたものによって、認識の外部にある未来をなんとか補足しようとし続けています。
そして、それゆえにこそ夢とか自己実現だとか、きちんとした実感や確信に基づかないものに左右されやすいのだとも言えます。
そうした人間の姿を、イギリスの哲学者コリングウッドは冒頭に述べたようなイメージで語りましたが、自分の後ろにあるもの(=未来)に対しては、直接見たり知ったりすることができない以上、取りうる手は「信じる」しかない訳です。
とはいえ、それは口を開けてどこかからやってくるかもしれない“救いの手”をただ待っているのではなく、なりたい自分とか成し遂げたい未来に向かって進む自分を作り出すために、とりあえず手か足か体のどこかを進み続ける能力のことを言います。
そして今あなたにもっとも必要なのが、そうした未来へ向けて前進し続ける力であり、今週は特に、真っ暗な部屋の中で灯りのスイッチを探すために壁を触りながら進み続ける自分をイメージさせられるでしょう。
おのれを求むる
近代アメリカを代表する思想家・エマーソンは「おのれを外に求むるなかれ」を座右の銘にしていたそうです。
著書『自己信頼』を読んでいると、その背景には彼が「自分にとって自分の心の奥で真実だと思えることは、万人も真実だと信じること―それが普遍的精神というものだ」と堅く信じていたことが大きかったことが分かってきます。
ここでそれをもう一歩押し進めるならば、たとえ自分以外の誰もがその背後に何も有意義な意味を見出さなかったたとしても、あなた自身がその背後に生起している力の気配や未来の胎動を確かに感じているならば、それこそ、あなたが求むるべき「おのれ」に他ならないのです。
今週はある種の「予感」がとても強まってくる時です。
気を散らさず、ひとりの時間をしっかり確保して、自分の内面へと没入し、「おのれ」を手繰り寄せていきましょう。
今週のキーワード
安易に部屋を照らそうとしないこと