おひつじ座
不意の先祖返り
心の武装をとく
今週のおひつじ座は、『星占の予想当たるか春ショール』(関口渓人)という句のごとし。あるいは、現実と向き合う姿勢に“軽やかさ”を取り戻していこうとするような星回り。
「ショール」は大判サイズの肩掛け用の布のことで、マフラーを巻くのだと暑すぎるし、ストールだとちょっと心許ないかなという時にカーディガン代わりに羽織るもののこと。確かに、春先の、まだ気温が上がったり下がったりと不安定な頃合いには、ちょうどいい選択肢と言えるかも知れません。
掲句の場合、出かけた先で楽しみな予定があるのでしょう。星占いの(おそらくは恋の始まりを告げる)予想が当たって、食事の相手と盛り上がって帰りが遅くなるかも知れないし、ショールでも羽織っていくか。そんな、どことなく浮き足だった作者の内面の弾みがなんとなくこちらまで伝わってくるはず。
ともすると私たちは、頭の中で思い描く“外なる現実”と向き合う際に、過剰な理論武装に走って論破やマウントをしようとしたり、病名や障害や可哀そうな境遇などを並べたててシールドを張りがちですが、そうした心の武装をふっと解いていくことこそが今のおひつじ座には必要なのではないでしょうか。
4月2日におひつじ座から数えて「世間との向き合い方」を意味する10番目のやぎ座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、あるかなきかの星占いの予想を現実にうっすら重ねてショールをまとうくらいの“身軽さ”を意識して過ごしていきたいところです。
特別な理由などない
地球が自転していることに慣れ切ってしまった人は、ついつい自分のことを毎日同じことを繰り返している存在と思い込んで、地球が公転していることを忘れがちです。
ただその一方で、私たちはある時、昨日と同じように朝を迎え、日が差してきたはずなのに、昨日とはまったくあたりの景色が変わっていることを、新鮮な驚きをもって発見することがあるはず。
そういうことも、人類が切り離された個人としてではなく、例えどんなに否定したとしても、どこかで原始人的心性の名残りに他ならないと考えることもできます。
あるいは、時として、何の落ち度もない相手に、特別な理由もなく冷めてしまったり、あるいはその逆の事態が起こったりすることがあるのも、同じ要因かも知れません。
とってつけた理由などなくても、唐突に誰かのことを好きになったり、嫌いになったり、世界観が変わってしまうことだってあり得る。今週のおひつじ座は、そんなことを自分に言い聞かせてみるといいでしょう。
おひつじ座の今週のキーワード
道ばたで唐突に咲く花のように