やぎ座
必要不可欠な別れの手続きを
巣作りとヒナの育成
やぎ座にとって「思想信条」の木星が「基盤」を意味する4番目のおひつじ座を運行していく2023年前半は、“デキる人”から“いい人”へと転換していく「巣作り」の時期に入っていきます。
ここからの2~3年は、自分自身の頑張りや一対一での関わりよりも、何らかの形で対集団の関わりがテーマに変わっていくのですが、その転換期にあたるこの時期は、特に出すぎた杭となって自分がどこまで突き抜けられるかより、埋もれた杭を引き出しつつ周りに杭を集めて何をどう囲っていけるかという方向にロールモデルも自然に変化していきます。
そうして、巣をつくりヒナを育てる鳥たちがするように、身の周りでもっとも弱く、傷つきやすい個体に基準をおいて、それらをいかに自分たちでケアしたり、癒やしたり、育成していけるかが問われていくはず。結果的に、この時期は学校や会社、地域、家族などの伝統的な集団に限定されない、何らかのグループやコミュニティとの結びつきもまた強まっていきやすいでしょう。
さらに木星が「子ども心」を意味する5番目のおうし座へ移る5月17日以降は「過去から未来への反転」の時期へ。ここでは自分やまわりが抱えている傷やリスクをいかに受け止め、その回復や立ち直りのためのアクションをどこまでグループやコミュニティ単位ではかっていけるかがテーマになっていきます。
またその際、純粋な好奇心や素直さ、遊びへの志向性、いい意味でのアホさといった「内なる子ども心」へのケアの強い必要性が特に示されていきやすいかも知れません。それらを単に「大人になりなさい」とか「身を固めるべき」などと言って抑圧してしまうのでなく、より自然なかたちで社会生活に取り込んでいけるかを考えてみるべし。
2023年上半期:やぎ座の各月の運勢
1月「周りが自然と楽しくなるように」
1月6日に前後して、やぎ座を運行中の「前進する」太陽と、「壁を打ち破る」天王星とが自然に共感しあい、リラックスしてつながっていきます(120度)。この配置は、古代ローマの「健やかな身体に、健やかな精神が願われるべきである」という有名な成句に基づく子どもの教育を想起させます。つまり、上からのトップダウン式に無理に従わせて学習を進めていこうとするのでなく、下からボトムアップ式で進めていく。そしてそれにはまず体がつい動いて参加したくなるような場やシステムを用意して、ごく自然発生的に、無理なく、楽しく、思い思いのやりたいことをやらせていくのがいい、というもの。この時期は、あなたの醸し出すそうした緩い空気感が、さまざまな人を惹きつけていくでしょう。
2月「爆弾処理班の仕事」
2月10日に前後して、やぎ座を運行中の「情報分析」の水星と、「軽く扱うことができないもの」を司る冥王星とが重なりあい、混ざりあっていきます。これは仕事に取り掛かる爆弾処理班のようなイメージを思い浮かべるとちょうどいいかも知れません。
ここでいう「爆弾」とは、その存在にうすうす感づいてはいるものの、口出しも手出しもできないためにみなでスルーしているような腫れ物的な人物や事案であるわけですが、ここではそれにあなたが手や口を出していくのです。プレッシャーは重く、時間と労力も取られますが、その仕事の以前と以後とでは世界の見え方や周囲の空気感がまるで違ってしまうような、そんなチャレンジにも今なら勇気をしぼって取り組んでいけるはず。
3月「経済圏の再建」
3月24日には「集合的こだわり」を表す冥王星が2008年以来、約15年ぶりにやぎ座からみずがめ座へと星座を移動させます。これはやぎ座の人たちにとって、どうしたら自分という建物をもう一度基礎工事から建て直せるか、そして以前とはまったく別の人間として生まれ変わっていけるか、ということに不思議とこだわってきた時期が終わり、お金の稼ぎ方だったり、お金を使う目的そのものを大きく様変わりさせることで、これまでとは異なる生活基盤を築いていくことに、執念を燃やす方向性が切り替わっていくことを示しています。いかに住まい、どうお金を回し、自分なりの付き合いを形成していくか、ゼロから考えなおしてみるといいでしょう。
4月「チャッチャとこなせる体制を」
4月25日前後には、やぎ座の守護星で「組織化」の土星と、「推進力」の太陽とが阿吽の呼吸で協力しあっていきます(60度)。これはつく人とかえす人の二人一組の餅つき芸であったり、漫画家が下書きと線入れをすませた原稿にアシスタントがトーン貼りやベタ塗りをチャッチャとこなしていく作業場のようなイメージを描いてもらうと分かりやすいでしょう。お互いの役割分担や作業工程をしっかりと話しあい、確認してから、淡々としかし効率的に仕事をこなしていく。そうした勢い任せではない、長続きする体制づくりをきちんと構築していくことがここではテーマになっているのだと言えます。
5月「好きだからやる、それでよし」
5月17日頃には、「欲張りポイント」の木星がおひつじ座からおうし座へと移っていきます。自分から数えて5番目の星座は「創作」や「愛情表現」を表すため、ここからの約1年間は、急に絵が描きたくなって会社を休職したり、所属先やコミュニティの一員としてではなく純粋な一個人に戻ってやりたいことが出てきたりといったことが起きていきやすいでしょう。仕事だからやるのではなく、好きだからやるし、それ以上でもそれ以外でもないのだという純粋な気持ちの発露をできるだけ大事にしていきたいところです。
6月「手綱をうまく握っていく」
6月20日に前後して、やぎ座の守護星で「縮小と熟慮」の土星と、「拡大と発展」の木星とがタッグを組んでいきます(60度)。この配置は、いつもなら必要最低限のギリギリのラインで買い物を抑えている財布の紐がかたい人物が、先を見越してここぞとばかりに青田買いしていくところをイメージしてもらうといいでしょう。
何でもかんでもコスト削減していくのではなく、コストをかけるべきところには大胆すぎるくらいにお金をかけ、仮にその予想が当たってもぬか喜びして油断するのではなく、クールダウンして引き際を見誤らない。そうしたバランスのよさが出てくるため、何か大きな事業や取引をスタートさせるにはこの時期がぴったりでしょう。
2023年上半期:やぎ座の「道標になる本」
松岡正剛『フラジャイル 弱さからの出発』(ちくま学芸文庫、1995)
松岡は、「強さ」の神話づくりに終始して、いつの間にか「弱さ」をめぐる神話を見失ってしまった現代人を「優しく憐れみ深いケア」へと駆り立ててくれるものについて、本書の結末部分で「ラディカル・ウィル」という言葉を使って言い表しています。
彼はこの言葉を日本語で「根本意向」とも言い直した上で、「仮に気分のシンクロニシティ(同期性)というものがあるとするなら、それはニュートリノ(中性微子、いわゆる宇宙線)の貫通のおかげかもしれない」などと言いつつ、こうした「微細な疾走者」としてのラディカル・ウィルの働きを次のように示唆するのです。
自発とはそういうことである。なにも自己意志に頼っているのではない。そんなものに頼れば、ただ自分が重たくなるだけだ。そうではなく、「むこう」からやってくる何者かの速度に乗ってそのまま加速の流れに入り、いっとき自己の他端に降りてみて、そこから急速にどこかへ飛び出してしまうことを、自発といい、発根というのでなければならなかった。けれどもそのとき、ほんのすこしのことなのだが、悲しくなるときがある。寂しくなるときがある。弱音を吐きたくなるものなのだ。しかし、そのときこそ唯一の時熟であった。弱音とともにわれわれは、「よそ」や「ほか」という未知の音信にやっと出会っているからである。
こうして、弱弱しい微細なものにひょいと乗っていく感性こそが、今期のやぎ座のテーマである「巣作り」や「ヒナの育成」においても極めて重要になってくるのではないでしょうか。
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