かに座
尻上がりに成果を上げていくために
さらなる高みを目指して
かに座にとって「拡大と発展」を司る木星が、自分の星座から数えて「中長期的な望み」を意味する11番目のおうし座に移っていく2023年5月17日以降は、いよいよ登頂したい山(=具体的な目標)を決め、「入山していく」時期となっていきます。
それが遠くのエベレストであれ、近くの高尾山であれ、山は山。過去2~3年が良くも悪くも肩慣らしの“ピクニック”期間だったとすれば、ここから先の2~3年はまさに真剣勝負。事前の計画をしっかり立て、きちんと装備をそろえつつ、生きるか死ぬかの覚悟をもって臨んでいくだけの高い目標をみずからに課していかなければなりません。
なお、『日本百名山』を書いた深田久弥は、いい山、のぼるべき山を選ぶ基準として、山の品格、山の歴史、確かな個性があるかを挙げ、標高の高さはあくまで付加的な条件としていましたが、これは目標設定の際にもあい通じていくように思います。
そして、そんな後半期の命運を左右していくのが2023年前半期であり、ここでは「選択と集中」をどれだけ大胆に決行していけるかがテーマとなります。すなわち、これまで水平に広げてきた選択肢の中から、決して譲れないものとそうでないものを整理した上で、垂直にのぼっていくべき方向性を決め、人生を本気モードへ切り替えていくギアチェンジをはかっていくのです。
結果的に、交友関係に変化が出たり、一時的に孤立することもあるはず。けれど、それもぬるま湯的状況から抜け出し、どうしても低めに設定しがちな目標を段階的に引き上げていくための通過儀礼だと割り切るべし。
2023年上半期:かに座の各月の運勢
1月「新たな現実の芽を」
1月7日にかに座16度で満月を迎えていきます。電気ショックを伴う天王星を巻き込み、「芽生えのプロセス」に関係する度数で起きるこの満月では、自分に活を入れてくれるような決定的なアイデアや感情、なまなましい渇望などが立ち上がってきやすいでしょう。
それは例えば、1978年に自宅に坂本と高橋を呼んで漫画タッチの企画書を見せ、自分はプロデューサーに徹するつもりでYMOを結成した細野晴臣のように、ふとした思いつきで人を集めたりといったことでもあるかも知れません。いずれにせよ、昨年夏のかに座新月からの約半年間を振り返りつつ、見守り育てていくべき新たな現実の「芽」をここでしっかりと見定めていくべし。
2月「希望の再燃」
2月10日頃に、かに座の守護星で「欲求」を司る月が、「欲望の増大」を促す木星へと全身全力で身を投じていきます(180度)。ここでは、かつてどこかで挫折してしまったり、窮地に追い込まれて放棄していた願望の実現をめぐって、自分の中にまだ諦めきれない思いがくすぶっていることを改めて発見していきやすいでしょう。
みずがめ座新月をはさんで、23日頃には月と木星が重なり、混ざりあっていきますが、それまでの約2週間の期間はそうした発見を踏まえて、前向きなエネルギーを取り戻していくにはもってこいのタイミングと言えます。
3月「一子相伝的な関わりへ」
3月24日には「集合的こだわり」を表す冥王星が2008年以来、約15年ぶりにやぎ座からみずがめ座へと星座を移動させます。これはかに座の人たちにとって、いかに有力者や世間からの認知度を高めていけるか、そのために自分なりの専門性を確立し、真剣に向きあえるものを見出していけるかにこだわってきた時期が終わって、もっと関わる人の生き方や人格が変容してしまうような、ディープでクローズドな体験に集中していけるかどうかに執念を燃やしていくようになることを示しています。
もちろん、それは口で言うほど簡単なことではありませんし、人をよく選ぶ必要も高まりますが、人生に一度ないし一人でもそうしたことが実現できたなら十分に成功と言えるはずです。
4月「目指せ新大陸」
4月30日に前後して、かに座を運行している「突進力」の火星と、「遠方とのつながり」の天王星とが互いに呼吸を合わせて一致協力していきます(60度)。これははさながら当時まだ未開の地だったアメリカ大陸へ上陸したコロンブスのように、これまで縁のなかった世界やアウェイの領域に積極果敢に飛び込んでいくような配置と言えます。
あるいは、アウトサイダー寄りの人たちと意気投合していく中で、これまでぼんやりしていた欲望の形ははっきり明確になっていくということもあるかも知れません。
5月「贈与の輪を広げていく」
5月17日に前後して、「思想信条」を司る木星がおひつじ座からおうし座へと移っていきます。自分から数えて11番目の星座は「友人関係」や「グループ活動」を表し、ここからの約1年間は自分のためにしたことが結果的にみなに恩恵を与えることになっていくような、そんな循環の輪をこれまで以上に広く大きくしていくことがテーマとなっていくでしょう。
社会が苦しくなると、ともすると近視眼的になりがちですが、そんな時だからこそ中長期的な広い視点をもっていかに贈与の循環を巡らせていけるかを考え、実践していくべし。
6月「穏やかな内海のごとく」
6月3日には、かに座を運行している「願望」の金星と、「夢見」の海王星、そしてかに座の守護星である月が水の大三角形を形成していきます。これは以心伝心的にあなたの本音や気持ちが周囲へ伝わっていきやすい、非常にリラックスした配置と言えます。
悪く出れば自己欺瞞的な幻想を現実と取り違えてしまう傾向となりますが、自分の分を勘違いせずに守れれば、望んだものが無理なく自然に手に入れていくことができるはず。凪いだ海のような穏やかな心持ちで臨んでいくべし。
2023年上半期:かに座の「道標になる本」
中山義秀『芭蕉庵桃青』(講談社文芸文庫、2002)
激動の昭和に数多くの歴史小説を書いた作家・中山義秀の遺作となったのが『芭蕉庵桃青』という歴史小説でした。その冒頭にて、賑やかな日本橋界隈に住み俳句の宗匠(マスター)となっていた芭蕉が、当時まだ辺鄙な場所であった深川の粗末な小屋に移り住み、それまでとは異なる独自の作風を確立し始めた頃に詠まれた「枯枝に烏のとまりたるや秋の暮」という句について、次のように指摘しています。
芭蕉としては三十七歳を期に、一切を放下して世捨人の境涯に入り、あらたに自分の句境をきりひらこうとする、意気込みだったことと思われる。/彼はその頃からして、体内になにやらうごめく力を感じていた。小我をはなれ眼前の現象を離脱して、永遠の時のうちに不断の生命をみいだそうとする、かつて自覚したことのない活力である。/その活力が「烏(カラス)のとまりたるや」という、字あまりの中十句に、余情となってうち籠められている。
こう書いた中山もまた、勤務先の上司とのトラブル、妻の死、貧困といった生活上の困難を経て、37、8歳頃にようやく自身の文学の道を確立したのでした。中山にとっての文学の道とは、時代や状況に流されることのない、独立自尊の気風であり、芭蕉を描いた筆致にも、自然と自身のたどってきた道への思いが重ねられていたように思います。今期のかに座もまた、中山にとっての芭蕉にあたる「もうひとりの自分」を見出していきたいところです。
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