ふたご座
未踏の境地に引き上げてくれるもの
一冊の本をつくるように
ふたご座にとって2023年前半期は、「何か大きな流れに運ばれて」いきやすいタイミングと言えます。これはちょうどアスリートが“ゾーン”へ入った時に最高のパフォーマンスを発揮するように、本当に好きで、それ自体が非常に愉しい活動に時間と労力を費やし、没入していくために、他のことがあまり気にならなくなっていくのにも似ています。
こうした状態は、登山家やダンサー、作曲家など多様な職業の人にも起こり得ることで、ある心理学者は「フロー状態」と呼びました。というのも、彼らの多くは精神的に昂揚するばかりでなく、何か大きな流れに身を任せているような浮遊感を覚えていたから。いずれにせよ、この時期はそれをすることの意味とか目的、評価や利益なんてことは脇に置いて、とにかく我を忘れて何かに没頭していられる時間、そのまったき充足を狂ったように追求していきたいところ。
そうして、自分の中でこみ上げてくる情熱や衝動が、特定の対象や活動へと自然と流れ込んでいきやすい前半期に対して、5月17日以降の後半期は、それをより具体的なカタチや継続性をもった形式へと意識的に落とし込み、整えていくことがテーマとなっていきます。言わば、一気呵成に書き上げた原稿を読者の元へ届けられるように一冊の本としてまとめ、「製本していく」時期なのだとも言えるかもしれません。
その際、いかに豪華に商品を見せるかということより、できるだけ不要な要素を削ぎ落し、あくまで使い心地や読みやすさを追求した“用の美”に徹することを心がけるべし。
2023年上半期:ふたご座の各月の運勢
1月「冴えたテンションが続いていく」
1月9日に前後して、ふたご座の守護星で「言語活動」を司る水星と「自由の哲学」の天王星とが自然にお互いを高めあっていきます(120度)。ここでは近しい相手との交流に代わって、むしろ物理的ないし心理的に遠い相手だったり歴史上の人物だったりとの交流が活発化していくことでしょう。
結果的に、身近な世間やその場の雰囲気に流されず、逆にそれらを断ち切ったところで、ハッとするような気付きを得ていくことができそう。30日前後にも同じ配置が起きるので、そのあいだの期間は特に考えごとや執筆がはかどりやすいはず。
2月「宝物はゴミ箱のなかに」
2月10日頃には、ふたご座の守護星で「学び」の水星と「極限」の冥王星とが重なりあい、混じりあっていきます。
水星は呼吸や思考のゆらぎを司り、冥王星は社会一般の常識や通念のはるか外側、狂気とすれすれのところまで私たちを連れていく惑星。ここではやぎ座の最後の領域で起こるため、「うさんくさいものの中に本質的なものが隠されてある」という視点で、不安や暗い思考の沈殿物を攪拌してしまうのでなく、むしろそこに人生の秘密を嗅ぎつけていくことができるかも知れません。
3月「密室の関わりから辺境の旅へ」
3月24日には「集合的こだわり」を表す冥王星が2008年以来、約15年ぶりにやぎ座からみずがめ座へと星座を移動させます。これはふたご座の人たちにとって、どうしたら他者と深く結びつき人と溶け合えるのか、またそのために意識や肉体の境界線をどこまで飛び越えられるのかなど、セラピー的な探求にこだわってきた時期が終わり、より広大な世界へと乗り出していく「哲学と旅」にこそこだわっていくようになることを示しています。
外国語の習得に熱心になったり、人間中心主義的な発想から離れていったりと、その現れ方は人それぞれですが、いずれにせよ密室や頭脳に閉じこもる機会はますます減っていくことになりそうです。
4月「やればできる」
4月5日に前後して、ふたご座の守護星で「アウトプット」の水星と「限界と制限」の土星が強力なタッグを組んでグングン生産性をあげていきます(60度)。
これは言わば、ホテルに缶詰めにされた作家の配置。行動の自由こそ制限されますが、必要な設備やサービスはすべてそろった上質なホテルに自らを追い込んでいけば、これまでなかなかまとまらなかった思考がどんどん明確な形を帯びて、ちりぢりだった言葉の断片が雪だるまのようにみるみるかたまりになっていきやすいでしょう。ここで期間を決めて、これという作業に打ち込めば、相応の成果が期待できるはず!自分はプロなのだと言い聞かせて。
5月「欲望の棚卸し」
5月17日に前後して、「欲張りポイント」である木星がおひつじ座からおうし座へと移っていきます。自分から数えて12番目の星座は「喪失」や「浄化」を表し、これまでの約11年間のあいだに自分がどんなことを望み、結果として何を掴んで、何を掴みきれなかったのか、改めて振り返って整理してみるといいかも知れません。そうした作業を通じて、ここで手放し卒業すべきことと、これからも引き継ぎ追い続けるべきこととがはっきりしていくはず(特に前者)。
6月「新たな異質性を受け入れる」
6月10日頃には、ふたご座の守護星で「大脳新皮質」的な要素を司る水星に対して、「深層意識」を司る海王星が死角から横やりを入れていきます(90度)。右肩上がりの経済成長だとか、何を獲得したかで測られる人生価値だとか、そうした近代ヨーロッパ的な発想からはここでいったん離れてしまいましょう。
その代わり、私たちは何かを失ってこの世界に生をうけ、一方でたまたま何かと出会い、ふとした瞬間に新たな実感をもちえていくといった非近代的な発想にこそ、大きなヒントが得られていくはず。
2023年上半期:ふたご座の「道標になる本」
小津夜景『カモメの日の読書 漢詩と暮らす』(東京四季出版、2018)
俳人の小津夜景が、数々の漢詩をみずからの手で訳し、そこに瑞々しいエッセイを添えた『カモメの日の読書 漢詩と暮らす』の中には、例えば、北宋の女詩人である謝希孟の「芍薬」という詩について書かれた次のような一節が出てきます。
かりそめの花の香りよ
つかのまの夢の一生(ひとよ)よ
だからこそ笑って贈る
この歌に想いをのせて(……)ほんとうのわたし、という物語など気にもとめず、かりそめの生、うたかたの世、うつしよの言といった虚構を堂々と生きる女性ならではの気品がある。この手の気品を綺麗に写しとるには、歌謡の香りをふんだんに薫きしめた訳がふさわしい。たとえば
束の間の色香なるべし
あすしれぬ花のいのちよ
さればこそ贈らむものを
これやこの歌に托えて(那珂秀穂・訳)(……)じぶんもこんなふうに、シュレーディンガーの猫的に、存在論的幽霊的に、底なしに奥行きのないリヴァーシブルな死生をうふふと味わいつつ、蛍のように明滅してゆきたい。
今期のふたご座もまた、こうした「こよなき言葉、いとしい意味」を、さらさらと我が身を通して流していく時間を大切にしていけるといいのですが。
まーささんが占うふたご座の上半期の恋愛運はこちら
SUGARさんが占うふたご座の今週の運勢はこちら
星乃せいこさんが占うふたご座の今月の運勢グラフはこちら