いて座
孤独の底で魂の交感を見つけていく
偶然を見出しリズムを培う
いて座にとって「拡大拡張」の木星が「創造性」を意味する5番目のおひつじ座を運行していく2023年前半は、月並みな図式からの「逸脱」のしどころを模索していく時期。
これは新自由主義に伴う「能力主義」の風潮において、能力の高い人が活躍し見返りを得るのも、逆に能力の低い人が落ちぶれるのも当然であり、然るべきことが然るべきところで起きていくのが良い人生であるといったありきたりなストーリー展開への違和感と、「社会的に何者でありたいのか」というアイデンティティの問題に対する深まりとの結びつきの中でおのずから起きていきやすいでしょう。
例えば、哲学者の九鬼周造は「わくらばに人とはあるを(たまたま人として生まれて)」といった偶然性の感覚、すなわち、生まれのたまたまや出会いのたまたまからこそ、むしろ濃密な意味が立ち上がってくるのだという気付きと情緒とを大切にしていましたが、こうした袖振り合う縁の世界であったり、「面影に向かって振り返るようなところに生じる」偶然(離接的偶然)は、今季のいて座にとってもカギになっていくはず。すなわち、「他でもありえたかもしれない」現実の分岐点をしっかりと見極めた上で、改めて選択肢を選び直していくことがテーマとなっていくのです。
さらに、木星が「リズムの調整」を意味する6番目のおうし座へと入っていく5月17日以降は、「跳躍のための助走」の時期へ。ここは言わば2024年以降の新たな12年サイクルへの橋渡しのタイミング。
私たちは日頃繰り返されるリズムと一体化していくなかで、それに受動的に運ばれるだけでなく、それを対象化し能動的に拍節を刻んでいくことで、大きな飛躍のきっかけを生み出していくことができます。その意味で、睡眠や運動、食事や息抜き、はたまた月の満ち欠けから農事まで、ここでは日々の生活の中で、何らかの形で自分なりのいいリズムをつかみ、育んでいくべし。
2023年上半期:いて座の各月の運勢
1月「桃太郎とキジのタッグ」
1月25日に前後して、いて座の守護星で「拡大と発展」の木星が、「意識化」の太陽と阿吽の呼吸で協力しあっていきます(60度)。この配置は桃太郎とキジの関係性をイメージすると分かりやすいでしょう。
前例のないことや未知の世界へとつい見切り発車的にグングン足をのばしていきやすい桃太郎を、キジは俯瞰的な視点からナビゲーションしたり危険を先回りして知らせることでサポートしてくれる訳です。そのため、この時期はなんとなく当てずっぽうでやっていた行動に、正確な時代認識や流行分析などが噛み合わさっていくために、自分のやっていることに自然と確信が生まれていきやすいでしょう。
2月「桃太郎とサルのタッグ」
2月18日に前後して、いて座の守護星で「欲張りポイント」を司る木星に、今度は「学習と研究」を司る水星が一致協力していきます(60度)。こちらは向かってくる敵は有無を言わせず成敗してやろうとする桃太郎と、「そもそも鬼は本当に敵なのかい?」と問いかけてくるサルの組み合わせをイメージしていきたいところ。
当然、そんなこと考えたこともなかった桃太郎は脳みそをフル回転させていきますし、サルは桃太郎の鬼退治という研究対象を通して「おじいさんとおばあさんの謎」や「桃太郎の正体」、「鬼が島とは何なのか」などさまざまな問いに仮説を立てては直接対話を試みたり、データを取ったり、資料を読み込むことで検証していきます。結果的に、この時期はこれまでどこかぼんやりしていた頭の中や一部が不透明だった世界の見え方がスッキリとクリアになっていくはず。
3月「空き地で遊んだ子どもの頃のように」
3月24日には「集合的こだわり」を表す冥王星が2008年以来、約15年ぶりにやぎ座からみずがめ座へと星座を移動させます。
これはいて座の人たちにとって、どうしたら稼ぎ方そのものを変えられるのか、またそのために自己価値を少しでも高めていけるのかといったことに不思議とこだわってきた時期が終わり、もっと実験的に自分なりのカラーを打ち出したり、個性の異なる他者といきいきとした交流を結んでいけるかということに執念を燃やす方向性が切り替わっていくことを示しています。あるいは、一つのことだけに没頭していくというより、同時並行的に別々のことを展開させたり、複数の分野や異なるカテゴリー同士をクロスオーバーさせていくことにも自然と惹かれていきやすいはず。
4月「インフルエンサー or エセ教祖?」
4月12日頃には、いて座の守護星で「エスカレートさせる」木星と、「主導権を握ろうとする」太陽とが重なりあい、混ざりあっていきます。この配置は、頭の中に思い描いた映像を実際に現実空間において展開し、多くの人にそれを見てもらい広めていこうとする映画監督やアニメ監督の仕事に近いものがありますし、流行やブームを作り出していく力も発揮しやすいでしょう。
ただ、よく出れば実行力を伴ったインフルエンサーなのですが、悪く出れば自我肥大のエセ教祖様にもなりかねません。何かとやり過ぎてしまいやすいタイミングなので、自分にツッコミを入れてくれる知人友人をそばに置いておくとより◎
5月「結果より過程を重視」
5月17日頃には、「理念と信条」を司る木星がおひつじ座からおうし座へと移っていきます。自分から数えて6番目の星座は「自分なりの美学」や「生活リズム」を表し、ここからの約1年間は、仕事の流儀や仕事環境を洗練させていったり、新たな生活習慣を取り入れつつ生活の優先順位を改めて見直したり、そのために結果そのものよりもプロセスにこだわることに意欲が向かっていきやすいでしょう。また、頼まれ仕事や人の相談にのったりしていく機会も自然と増えていきやすいはず。
6月「桃太郎とイヌのタッグ」
6月20日に前後して、いて座の守護星で「理想追求」の木星と、「現実重視」の土星とが今度はタッグを組んでいきます。この組み合わせは、言うならば鬼が島退治で一攫千金を虎視眈々と狙っていく桃太郎と、何かと欲が先走りする桃太郎にワンワンとツッコミを入れていくイヌといったところ。
イヌは義理人情に厚く、自分から裏切ることはまずありませんから、この組み合わせがうまく機能するかどうかは桃太郎がボケをかますタイミングやその思いきりのよさにかかっているのだと言っていいはず。すなわち、富を独り占めしようなんてケチ臭いことを考えず、できるだけ周囲に分配し、往年の松方弘樹ばりの大盤振る舞いを謳っていきたいところ。そうであればこそ、金庫番のイヌも張り切ってダメ出しを決めていけるのです。そのため、この時期はお金の使いどころと、誰とどこまで関わっていくかという線引きなど経済感覚がメキメキと洗練され、結果的に人もお金も集まってきやすいでしょう。
2023年上半期:いて座の「道標になる本」
田中優子『江戸百夢 近世図像学の楽しみ』(ちくま文庫、2010)
江戸文化研究家の田中優子は、着物の縞(しま)柄つまりストライプ模様について触れて次のようなことを述べています。
九鬼周造は『「いき」の構造』の中で、「模様としての縞」が『いき』と見做されるのは決して偶然ではない」と書いた。なぜなら、「いき」の表現は「媚態」のもっている二元性を表わしていなければならず、「永遠に動きつつ永遠に交わらざる平行線」としての縞は、その二元性のもっとも純粋な表現だからだ、と。
(……)いったいこの媚態の二元性とは何か。九鬼によれば「一元的の自己が自己に対して異性を措定し、自己と異性との間に可能的関係を構成する二元的態度」のことである。ひらたく言えば、惚れた相手と同一化したいと思っているあいだの緊張した状態のことだ。だから、完全に同一化してしまえば関係は「いき」でなくなる。しかし個人と個人が完全に同一化するなどあり得ないことだから、幸福な幻想さえもたなければ、惚れ合っていてもおおいに「いき」であり得。縞とはつまりそういうことの現れだと思うと、着物の文様もばかにできない。……この場合「いき」であり得る縞は横縞でなく縦縞でなければいけない。縦縞は「軽巧精息の味が一層多く出ているため」だ。
ところで、この縞というのはもともとセイロン島などの東南アジアの「島」のことだったのだそう。つまり、やがて「いき」の象徴となる縦縞はアジアの古い記憶を宿した文様であり、それを取り入れていった今は懐かしき日本とアジアの関わりこそ、「いき」の原点だったのかも知れません。
その意味で、今期のいて座にとっても、ここで言及された「縦縞」のような「可能的関係」、すなわち、どこまでも互いに自由であることを認め合えるような「いき」な関わりや、それを支える日本の伝統的な美意識こそ大きな指針となっていくのではないでしょうか。
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