おとめ座
腰を据えて今のリアルと向きあっていく
失敗してもいいんです
おとめ座にとって「勢い」を司る木星が「生存領域の拡張」を意味する9番目のおうし座に入っていく2023年の5月17日以降は、喩えるなら草木が四方八方へ養分を求め、土中に根を張り広げていく「根張り」の時期となっていくでしょう。
ここで思い出したいのが、古代ギリシャのプラトンが人間を「天空の植物」ないし「さかさまの植物」と呼んで以来の伝統であり、中世の哲学者ギョームの「木々は自分たちの頭である根を大地に埋め込み、そこから栄養を摂取する。逆に人間は、同様の頭を中空に露出している。なぜなら人間はおのれの霊性を糧として生きるからである」という言葉です。
つまり植物における根張りとは、人間においては自らが浸っている生活世界に積極的にアンテナを張り、自分なりに感知可能なコミュニケーション空間を再構築していくことに他ならないのです。それを今期の課題に置き換えれば、一見無駄に思えることにこそ手を伸ばし、これまで苦手としてきたことを一つでも克服していくことで、みずからの視野から決定的な“穴”をなくし、世界観の回復やさらなる充実をはかっていくということ。
そして、その意味で重要になってくるのが、木星が「息継ぎ」を意味する8番目のおひつじ座を運行していく2023年の前半期です。ここは言わば土壌改良のチャンス到来期であり、根が健全に発育していく上で不可欠な新鮮な空気(=人間的つながり)をたっぷりと大地に含ませていくにはもってこいのタイミング。
ここではできるだけ“風通し”の悪い職場や環境から飛びだして、どんよりこもった空気を外に出していくべく、硬直した思考回路や古びた成功方程式が書き換わるような新たなリソースや尊敬できる相手、刺激的な出来事などにどれだけ手を伸ばし、貴重な失敗経験を重ねていけるかどうかが問われていくでしょう。
2023年上半期:おとめ座の各月の運勢
1月「周囲から堂々と浮いてしまおう」
1月7日頃におとめ座の守護星で「発話」を司る水星と「生きる力」の太陽とが重なりあり、混ざりあっていきます。これはそれまで些末なことや手元の動きに純粋に熱中できていた水星が、もっと生きる意味とか人生の本質ということを考えなくてはならなくなるという点では実に面倒くさい配置なのですが、その分スイッチさえ入ってしまえば「私の話を聞いてほしい」と素直に自己開示していくこともできるはず。それは既存の社会システムから相対的に「浮いた」存在となることを厭わずに批判も表現もできるということでもありますから、うまく活用すれば非常に創造的な時期となっていくでしょう。
2月「退屈な関わりとはおさらばするべし」
2月22日前後にはおとめ座の守護星で「応答する」水星に「切り離す」天王星が激しくぶつかりつつ(90度)、結果的に「ダイナミックに動く」火星が自然と繋がっていきます(120度)。これはこれまでなんとなくやり取りを続けてきた友人や知り合いに対する情緒が、突如としてプツンと切れやすい配置と言えます。
日本社会ではこういう出来事を「冷たい」「情緒がない」などと非難する傾向がありますが、火星の働きもあって、ここでは「退屈な関係を続けるよりもっと面白くて刺激的な関わりがあるじゃないか」とサクッと切り替えていけるはず。場合によっては少し人に対して辛辣になりやすい時期でもありますが、ジェットコースターのような気持ちの変化を楽しんでいくくらいで◎
3月「より必要とされる場所へ」
3月24日には「集合的こだわり」を表す冥王星が2008年以来、約15年ぶりにやぎ座からみずがめ座へと星座を移動させます。
これはおとめ座の人たちにとって、趣味や恋愛、創作活動などを通して、個人的な楽しみやドラマ的な浮き沈みを人生に作り出すことに不思議とこだわってきた時期が終わり、より現実的に人の役に立ったり、直接的に感謝されたりするなかで、人からより必要とされる存在になっていくことにこだわりが移っていくことを現しています。きちんと自分の実力や才能に見合った活動環境に身を置いていけば、自然と体力が増し、健康も実感していきやすいでしょう。
4月「未知の体験へのダイブ」
4月4日頃には、おとめ座の支配星で「批判的知性」の水星を「死と再生」を司る冥王星がへし折っていきます。
おとめ座というのはどうしても素直に何かを信じるということが苦手で(これは反対側のうお座の得意分野)、ともすると毒舌を吐きがちなのですが、ここではそうした頭脳の働きを圧倒するような未知の経験や出来事が起きていきやすいでしょう。それは張っていたバリアを強引に解除されてしまうようなショックを伴いやすい反面、分かったつもりになって小さくまとまっていた自分を打ち崩すような未知の人物や体験に特に惹かれていきやすい時期でもあるはず。こもりがちな脳の換気にはもってこいのタイミングです。
5月「まだまだこんなもんじゃない!」
5月17日に前後して、「拡大拡張」の木星がおひつじ座からおうし座へと移っていきます。自分から数えて9番目の星座は「師との関わり」や「精神的成長」を表し、ここからの約1年間は、何らかの形であなたに火をつけてくれるような尊敬できる人物との出会いや、ワンランク上のレベルへと引き上げてくれるような関係性を追い求めていきやすいでしょう。それはしばしば、自分は、人生は、まだまだこんなもんじゃないんだという根拠のない肯定感や年齢など気にしないチャレンジ精神をも伴っていくはず。新たに勉強を始めたり、学校に通ってみるのもおすすめです。
6月「課題としての集団的ムーブメント」
6月15日前後には、おとめ座の守護星で「興味関心」を司る水星に、「制限と抑圧」の土星が釘を刺していきます(90度)。イケイケモードの流れにあったおとめ座ですが、ここで現実の厳しい壁に直面してきやすいかも知れません。
それは特定の型に従ってひとりコツコツと練習をしていくことの限界なのですが、逆に言えば、乗り越えるべきハードルの提示とも言えます。その意味で、この時期のカギとなるのは「集団的なムーブメント」であり、他者を巻き込んだり巻き込まれたりしていくことで、ひとりでは決して超えられなかったであろうハードルを超えていくことがテーマになっているのだと言えます。
2023年上半期:おとめ座の「道標になる本」
東千茅『人類堆肥化計画』(創元社、2020)
奈良県宇陀市の里山で、家畜や虫や微生物など人間以外の生物たちとズブズブになりながら自給自足の生活を送っている東千茅は、そんな自身の活動の発端について次のように述べています。
わたしが里山生活に向かったのは、より愉しい日々を求めてのことだった。都会での生活はわたしにとって、生きることの迫真性に欠ける不十分なものだった。溢れているのは人間ばかりなうえ、何もかもが間接的で、その分だけ悦びも希釈された。わたしが渇望したのは<生きることを生きること>であり、自分の生を完膚なきまでに味わい尽くすことである。
また、東が主催し仲間と共同でつくっている『つち式』という雑誌の紹介文にも、
「生きる」という、今や比喩表現でしかないこの営みを、あくまで現実的に根底から生きなおそうとする試み。異種生物たちを利用し、異種生物たちに利用されながら成り立つ人間の生の本然を、より生きるための「生命の弾倉としてのライフマガジン」
とあります。
おそらく、今期のおとめ座に必要となってくるのも、まさに東が渇望した「<生きることを生きること>」であり、「生命の弾倉」の充填なのではないでしょうか。
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