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てんびん座
快楽と文化
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精神的化粧品として
今週のてんびん座は、「若きドン・ジュアンの冒険」のごとし。あるいは、精神的健全さのためのよりよい性生活について考え、実践していくような星回り。
私たちの性生活には3つの側面があるように思います。
ひとつは、子作りを目的とするもの。もうひとつはコミュニケーションの延長線だったり、愛情表現としての性行為。そして後のひとつが、快楽という通路を介して行われる遊びや、文化としての存在するもので。
これは例えば映画を見たり、音楽を聴いたりすることが、精神的な化粧を自分に施していくことだとすれば、性生活もまた「精神的化粧品」であることに違いはないはず。
そうであるならば、寺山修司が『青女論』で述べているように、
「たのしいセックスができることは、ダンスや歌がうまかったり、絵にすぐれていたり、演技が上手だったりするのと同じようにその人の教養であり、才能でもあるべき」
なのだと思います。
今週は、精神的教養という観点から見たときに、自分には何が必要で、何が不必要なのか、考えてみるといいでしょう。
そら豆二句
例えば俳人の小澤実は、細見絢子の「そら豆はまことに青き味したり」という句に性的な幻想を感じると述べており、別の場では、みずから「そら豆の皮も食ふ派ぞ嚙(か)みしむる」という句を詠んでいます。
確かに言われてみれば、細見絢子の句は、「そら豆」という素材の視覚的な色彩と、まだ熟しきらないうちに収穫され微かにえぐみを含んだ味わいとを混じらわせつつ、じつに立体的かつ大胆にそれを詠みあげています。実際そこまで行かなければ、本当にそら豆を食べたことにはならないのかもしれません。
対して小澤實の方も、負けじと自分なりの食べ方を追求してみせている。こちらはみずみずしい奥行きというより、直接書かれていない人間関係への意識が「噛む」という行為によってより一層シャープに浮き上がってきているように感じられて、力強い。
今週は、このように自分なりの楽しみ方や感じ方を追求したり、洗練させるためのひと手間を加えていくことで、一皮むけてくるでしょう。
今週のキーワード
そら豆食べる
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