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かに座
人の世をうらなう
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詩情の源泉としての群衆
今週のかに座は、『あきかぜのふきぬけゆくや人の中』(久保田万太郎)という句のごとし。あるいは、全身に新鮮な血が通っていくような星回り。
平明な事柄を平明なことばで詠んでいるにもかかわらず、深い余韻の味わえる一句です。特に、下五の「人の中」という表現は、マスの人を描かれることの少ない俳句の世界ではなかなか出てきにくい言い回しのように思います。
というのも、たいがいの詩人にとって「人」は疎ましいものであって、ましてやたくさんの人ともなれば忌避の対象に他ならないはず。しかし、作者の「人」を見る目は自然物を見るかのように穏やかで、ふんわりとした柔らかささえ感じられます。
おそらく、作者が浅草生まれの江戸っ子であったり、生家が商売やっている関係で店にはいつも15、6人の職人が働いていたことも大いに関係していたのでしょう。この句を読むと、あきかぜに吹かれている「人」のひとりひとりの表情の違いまで浮かび上がってくるような気がしてきますが、作者にとって「人」が大勢いる光景というのは、詩情の源泉だったのかも知れません。
8月31日にかに座から数えて「霊感」を意味する9番目のうお座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、いつも以上にインスピレーションに恵まれたり、その源泉に触れていく機会を得やすいでしょう。
風に敏感になる
平安時代に編まれた勅撰和歌集『古今和歌集』の中に藤原敏行の歌のなかに、「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞ驚かれぬる」というものがあります。
これは風の音で秋が来たと知る。目にはよく分からないけれど、季節の推移に何か異変を感得した、まさにその瞬間を捉えている訳ですが、冒頭に紹介した句の場合は、またそれとも感得の仕方が違っています。
今ままでなんだか黒々とした塊として認識していた“群衆”が、さっと見分けがつくようになって、一人ひとりの表情までも生き生きと感じられるようになったというのは、ただこの世の無常さに感じ入って、ひとりで感傷的になっている訳ではありません。
むしろ、ここでは何かただならぬ気配だとか、社会を覆う雲行きの変化が察知されている。それはいいものかもしれないし、悪いものかも知れない。ただ風に敏感になるというのは、ただ物理的な意味だけでなく、そうした社会の流れであったり、これから起きることの予兆を読み取り、占っているということでもある訳です。
今週のかに座は、天に問いを立て、風の流れや音を感じ取っていくことで、人の世の流れや予兆を自分なりに読みといていくことがテーマとなっていくでしょう。
かに座の今週のキーワード
占いは驚きを伴うもの
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