おうし座
夢の裏側で泳ぐ
夢の裏側で泳ぐ
おうし座にとって、2024年の上半期が羽根を広げた孔雀のように周囲の人たちの注目を一身に引き寄せたり、また何かと表舞台に引っ張り出されていきやすい時期だったとすれば、2024年下半期は、あなたがこれからも誰かと一緒に見ていきたい“夢”を、どうしたらそこから醒めずに維持したり、膨らませていけるかが問われていく時期となっていくでしょう。
いわば、夢や理想のきらびやかな側面というより、その地道な支え方の問題や、裏方の事情の方がおおきくフィーチャーされていく訳ですが、その際にひとつの指針となっていくだろう作品がテレビアニメ『リコリス・リコイル』です。
この物語の舞台となっているのは10年前に大規模なテロが起こり電波塔(スカイツリーがモデル)が破壊されたものの、そこから復興しつつあるという架空の(近未来の)日本であり、そんな新しくなった電波塔の見える下町にある喫茶リコリコの看板娘こそが主人公の一人である千束(ちさと)でした。
髪に赤いリボンを結んで制服姿で、常連客と気さくに会話を交わすその姿からは、明らかに平成の萌え系文化の匂いが漂っているのですが、その正体は常人離れした戦闘能力をもつ、政府によって養成された伝説のエージェント(女性はリコリス、男性はリリベルと呼ばれる)。ふだんは喫茶店の店員として働き、街の人々の困りごとをボランティアで助けつつも、その裏では血を流しながら平和の破壊を目論むテロリストと対決する日々を送っているのですが、じつは先天的な心臓疾患のために余命が短いという秘密も抱えています。
タイムリミットが近づいていることを予感しつつも、彼女は年相応の女の子でいられる等身大のコミュニティーでの触れ合いという表の活動を全力で楽しみながら、その維持のための裏の活動に今まで以上に邁進していくのですが、何より彼女の思想的な強さは、どこかでその表の活動が嘘っぱちで、そんなに長続きしないであろうことを分かっていても、それでもそれを守ることに価値があるのだと確信しているところにありました。
それと同様に、今期のおうし座もまた、どんなにささいな“夢”であれ、それが夢である以上、ユートピア的に誰かと共に楽しんだりするだけでなく、確かな覚悟をもって自分が裏から支えて初めて成り立っていくものなのだということを、改めて実感していくことになるはず。
2024年下半期:おうし座の各月の運勢
7月「デーモニッシュな感覚の深まり」
7月12日にはおうし座の守護星で「愛着」を司る金星が、「極限」の冥王星に向かって全身で飛び込んでいきます(180度)。極限にまで達した愛というのは、はた目から見れば、たいそう気味が悪く映るものですが、この配置は自分をそういうところまで持っていった上でなお、開き直っていくような勢いを感じさせます。
そこでは、ある種の暗くてなまめかしいデーモニッシュな感覚を呼び起こされていく訳ですが、その度合いに応じて人はだんだん「非常識」になっていくのです。そのため、常識人でありたい人ほど、このタイミングで苦しくなっていくかも知れません。しかしそれもまた、夢の裏で泳いでいくための通過儀礼なのだと言えるでしょう。
8月「サッと何かが切れていく」
8月1日から3日にかけて、「愛着」を象徴する金星が、今度は「均衡を破る」動きをする天王星から予想外のところから影響を受けていきます(90度)。もしかすると、何があっても揺るがないように思われた縁が唐突に切れてしまったり、快・不快の基準がスッと変わってしまうといったこともあるかも知れません。
それはおうし座にとっては、子どもの頃に茶色く汚れてきたり、ボロボロになってきてもそのまま寝床に置き続けたタオルケットなどを、勝手に洗われたり、新調されてしまった時と同じくらいの戸惑いをもたらすはず。しかし見方を変えれば、それはすっかり形骸化して、中身がないのにも関わらず続けてきた習慣や悪癖を思い切って手放していくチャンスでもあるのだということも忘れずに。
9月「俗悪と深遠のはざまで」
9月2日には冥王星がやぎ座へいったん戻ります。ここから11月20日までが、いよいよここ15年ほど続いたやぎ座冥王星時代の最後の膿だし期間となっていく訳ですが、おうし座の場合、それは常識的で世俗的な考えに染まることを恥と思い、もっと深遠な自分でありたいという願望と関連していきやすいはず。
そうした願望とは相反するような動きが、冥王星がみずがめ座に入ったり戻ったりしてきたこの1年半のあいだ、自分の身にどのように出てきたのか、このタイミングで改めて整理してみるといいでしょう。
10月「あきらめを通して見えてくるもの」
10月4日から5日にかけて、おうし座の守護星で「楽しみ」を司る金星と、「原理原則」を司る土星とが、自然と共感しあっていきます(120度)。欲望や快楽というのは何かと必要以上に肥大化しがちだったり、暴走していきがちな性質がありますが、この配置ではむしろ、気持ちよい状態を長続きさせていくためには「欲張らず、ほどほどに」という腹八分目ルールを徹底していくことになるでしょう。
若い頃は、そういうのは単調で退屈だとか、枯れてると思いがちですが、淡々としたくり返しや、ある種のあきらめを通して初めて感じられてくる喜びというものを、再発見していきたいところです。
11月「いつもの私は不在にしております」
11月2~5日にかけて、おうし座の守護星で「気持ちいい!」を象徴する金星が、「公共的なこと」と関連する木星をターゲットにしてそこに矢を放っていきます(180度)。
金星というのは基本的には個人的な趣味の範囲で、あくまで自分が楽しむことを基準に動いていくところがありますが、この配置では、それとは逆にどうせ楽しむなら「みんなと一緒に」とか、「できるだけ色んな人を巻き込んで」世に広めていこうという動きが出てきやすいはず。よく言えば、非常に祝祭的になっていきますから、無礼講だと割り切って、思いきり羽根をのばしてみるといいでしょう。
12月「新たなアイデンティティへ」
12月7~8日にかけて、おうし座の分身でもある金星は、みずがめ座の頭で「新たに生まれ変わる力」を司る冥王星と重なっていきます。これはやぎ座冥王星時代に培ったアイデンティティからの引き剥がしや切り離しが本格化していく配置であり、みずがめ座は風(空気)のサインですから、新たな自分らしさは世代や時代をこえて何を伝え、手渡していけるかといった文脈のなかで、新たに書き直されていくでしょう。
この時期はある意味で、地上を着実に這うなかで自身の王国を踏み固めるような観点から、宇宙船にのって自分の関与した世界をどう見守っていくかという観点へのうつろいを象徴していくかも知れません。
2024年下半期:おうし座の「指針にしたい映画」
本命:『キック・アス』(2010、イギリス & アメリカ)
対抗:『レスラー』(2008、アメリカ)
大穴:『イングロリアス・バスターズ』(2009、アメリカ)
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