さそり座
身近な危険の認識と対策
しずけさの技術
さそり座にとって、2024年上半期がたまたま砂浜でメッセージの入った壜を拾い、そこに書かれた言葉を通じて思いもよらない世界とのあいだに「橋」がかかっていった時期だとすれば、2024年下半期は竜宮城であれ不思議の国であれ湯屋であれ、その橋の向こう側の世界へと自然と足が向いて渡っていってしまうような時期となっていくでしょう。
日常のすぐとなりにある異界、なんて言うとちょっと怖いような気もしますが、そんな今期のさそり座の体験をちょうどポジティブに裏書きしてくれているかのような作品が、ケンカばかりの犬猿の仲である三兄弟が仲直りの旅に出かけていく映画『ダージリン急行』です。
父の死をきっかけに長らく絶縁状態にあったホイットマン三兄弟は、インド北西部を走る寝台列車「ダージリン急行」に乗って仲直りの旅に出ます。目的地は、失踪中であった母が尼僧をしているというヒマラヤ奥地の山深い寺院。3人は三者三様の悩みを抱えており、旅のあいだもすったもんだを繰り返すのですが、ようやくたどり着いた先で静かに佇んでいた母に、矢継ぎ早に質問をぶつけていきます。
なぜ、僕たちを捨てたのか?なぜ、こんな世界の果てにいるのか?なぜ、なぜ、なぜ―。そんな慌ただしい三兄弟の心と舌の動きを制して、母は次のような提案をするのです。
人生には、この世界には、言葉では理解できないことがある。言葉では、決して説明できないことがあるのだと。だから、私たちも言葉を使わなければ、もっと自由に自分自身を表現できるんじゃないかしら、と。
確かに、性格も生き方も異なる三兄弟は「父の死」や「母の失踪」といった巨大な現実を前に、それぞれにまったく違った言葉を用いながらも、それを無理に言葉にしようとしたり、言葉につまづいたりするなかで、会話や関係性をこじらせ、不自由さを募らせてきた。でも、口をつぐみ、目をつむり、そうして静かに手をつないでいくなかで、初めて分かってくることもあるはずです。
実際、この技術を習得する試みをつうじて、深い亀裂が走っていた兄弟の仲も、次第に修繕されていったのです。今期のさそり座もまた、そんな三兄弟のいずれかに自分自身の姿を見出すこともあるかも知れません。
2024年下半期:さそり座の各月の運勢
7月「自由に向かって走り出す」
7月14日から18日にかけて、さそり座の守護星で「実行力」を司る火星が、「新たな未来」を象徴する天王星と重なっていきます(0度)。
この時期は突拍子もない行動に出ていくにはもってこいのタイミングであり、ちょうど『ダージリン急行』の三兄弟のように、長年の膠着状態を崩すべく、突如としてこれまでの在り方とは正反対の方向に振れていったり、いつもの「当り前」に疑問や憤りが湧いた瞬間にそれが実際のアクションまでつながっていきやすいでしょう。
8月「巡礼する者に◎」
8月12日から17日にかけて、さそり座の守護星で「運動」の星でもある火星が、今度は「人生に意味を求める」木星と重なっていきます(0度)。これはいわゆる「巡礼」の配置であり、それはただ単に神社仏閣へ行くという以上に、世俗や日常から離れて聖なるものにより接近していこうとすることを意味しています。
あるいは、この時期はおのずと、あなたが何をするのであれ、その動機付けから毒気が抜けていきやすいはず。そういう状態でふらふらしていれば、おのずとあなたにとっての「聖地」にたどり着いていくこともできるかも知れません。
9月「過激癖を手放していくために」
9月2日には冥王星がやぎ座へいったん戻ります。ここから11月20日までが、いよいよここ15年ほど続いたやぎ座冥王星時代の最後の膿だし期間となっていく訳ですが、さそり座の場合、もっと才能や実力を磨いていかなければ自分は生き延びることができないのではないかという恐れや、言ってはならないことを口にするか相手を追い込むような物言いをしてしまいがちだったり、やたらインパクトのある体験や思想を求めがちといった問題を抱えていきやすいでしょう。
そうした恐れや癖を手放していこうとするような動きが、冥王星がみずがめ座に入ったり戻ったりしてきたこの1年半のあいだ、みずからの人生にどのように現れてきたのか、このタイミングで改めて整理してみるべし。
10月「エネルギーの無駄遣いの解消」
9月の末から10月頭にかけて、さそり座の守護星で「攻撃性」を司る火星が、「ルール」を司る土星と自然と浸透しあっていきます(120度)。この配置は、リングの中で動きまわったり戦ったりする格闘家のようなイメージを思い浮かべてみると分かりやすいかも知れません。
殴ったり蹴ったりといったことを普通の日常生活でやれば問題になる訳ですが、きちんとした合意やルールに従った上でならば無問題ですし、エネルギーの無駄使いもなくなるし、自分だけでなく周りを元気にさせることもできる。その意味で、スポーツに打ち込んだり、新たに始めてみるには絶好のタイミングとなっていくでしょう。
11月「オペに臨む」
11月1日から4日にかけて、さそり座の守護星で「自己主張」の星でもある火星が、「影の支配者」である冥王星に全力で矢を突き立てていこうとします(180度)。
これはいわゆる「冥界下り」の配置であり、自分自身を深いところから突き動かしてきた影響力の根源であったり、普段ほとんど意識したり直接触れることのできないような因縁やしがらみの大元に対して異議申し立てをしていきやすいタイミングです。もちろん、口に出すだけでなく、実際にメスを入れて不要なものはバッサリ切り捨てていくべし。
12月「まず微笑」
12月7日から翌日にかけて、さそり座の守護星で「変容」を司る冥王星に、「愛と調和」の星である金星が重なっていきます(0度)。何度かのやぎ座への揺り戻しを終えて、改めてみずがめ座へ戻って再スタートをきった冥王星を祝福するかのようなこの配置ですが、金星はどんなに深刻な事態に直面している時もどこかで「楽しむ」という感覚を忘れないようにとあなたに伝えてくれているのかも知れません。
あるいは、付き合う相手や親しみを感じる対象が変わって、おのずと交友関係にも変化が出てきやすいでしょう。
2024年下半期:さそり座の「指針にしたい映画」
本命:『ダージリン急行』(2007、アメリカ)
対抗:『ロスト・イン・トランスレーション』(2003、アメリカ & 日本)
大穴:『バベル』(2006、アメリカ)
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