しし座
人生に神聖さを取り戻していく
人生に神聖さを取り戻していく
しし座にとって、2024年上半期が自分なりの「立場や方向性」をきちんと周囲に示すべく立ち上がっていく中で、6~7年ぶりに弱い運気から強い運気の状態へと徐々に移行してきた時期だったとすれば、2024年下半期はいかに責任をもって応えていくべき事柄と真剣に向き合い、それに全細胞を沸き立たせるくらいまでハマっていけるかが問われていく時期となっていくでしょう。
ここで嫌でも思い出されてくるのが、近年のアニメ映画の中でも傑作との呼び声高い『BLUE GIANT(ブルージャイアント)』です。世界一のジャズミュージシャンを目指す主人公が高校卒業後、単身で上京してジャズバンドを結成し、夢に向かって突き進んでいく過程を描いていた本作ですが、その見どころとなっているのが、主人公の大がメンバーに向けてその情熱を語る熱いセリフと、現実から拡張されたアニメーションの視覚効果とジャズの即興性があわさった、圧倒的なライブシーンです。
ジャズは熱くて激しい。深くて自由なんだ。何よりソロが良いんだ。ジャズをやろう
これは、当初はサックスとピアノの2人で練習をしていたものの、ドラマーの必要を感じ始めた矢先に、大の居候先である高校の同級生・玉田をバンドに誘った時のセリフです。高校時代にサッカーをやっていた玉田は、進学先の大学でもサッカー・サークルに入るのですが、理想とはあまりにかけ離れたゆるい雰囲気に違和感を感じ、サークルを辞めてしまいます。しかし、主人公のこの言葉に感化され、ずぶの素人ながらもジャズに人生を賭けることを決め、死に物狂いでドラムの猛練習に励むようになりました。
そして、本作そのものと同時に、こうした玉田の姿にも、どこか今期のしし座の人たちの姿が重なっていくのです。かつて思想家ロラン・バルトは人間と動物を分けたのはリズムを意図的に繰り返すことであり、「人間の作業の特徴はまさに長く繰り返されるリズミカルな衝撃音なのである」(『第三の意味―映像と演劇と音楽と―』)と喝破しました。
プレイヤーは生きた鼓動の実感そのものであるリズムに受動的に運ばれると同時に、みずからリズムを刻んでそこに一体化していくうちに、パターン化された生の<外>へと飛び出していくきっかけをおのずから見出していくことができるはず。今期のしし座においても、こうした一連のプロセスをみずからの活動を通して実現できるかどうかが鍵となっていくでしょう。
2024年下半期:しし座の各月の運勢
7月「地獄へとお伴いたしましょう」
7月23日に前後して、しし座に入ったばかりの太陽が、太陽系外の宇宙と接する冥王星へ向かって全力で身を投げていきます(180度)。これは、世間一般的な意味での常識や正常のはるか彼方へと突き抜けていこうとする冥王星の要求に、太陽側が知らず知らずのうちに従っていくことになるという配置です。
例えば、井戸の底から貞子が這いずり出てくれば、普通なら恐怖してその場に固まるか逃げ出そうとするでしょうし、血気盛んな人であれば貞子を打ち倒そうとするはず。しかし、ここでは貞子と手をつないで一緒に井戸の底へと降りていくくらいの真似はしてみせないといけなくなるかも知れません。
8月「指切りげんまん」
8月11日に前後して、しし座の守護星で「心臓」を司る太陽が、「骨や皮膚」を司る土星から指導をうけ、ある種のしごきを受けていきます(150度)。しし座にしろ、太陽にしろ、取るに足らない出来事であっても、何かと必要以上に面白おかしく、ドラマチックな物語化していこうとするきらいがありますが、この配置ではむしろ熱をおさえた、淡々とした振る舞いをよしとしていく度合がグッと強まっていくでしょう。
土星は「引き際」や「終わり」も司りますから、このタイミングでは、何かしら今自分が熱心にとりくんでいることにデッドラインを引いたり、守るべきルールを設定していくことになるはずです。
9月「心身に過度な無理をさせないために」
9月2日には冥王星がやぎ座へいったん戻ります。ここから11月20日までが、いよいよここ15年ほど続いたやぎ座冥王星時代の最後の膿だし期間となっていく訳ですが、しし座の場合、忍耐強さや根性を証明しなければ一人前と見なされないのではないかといった恐れや、心身の調子が崩れるまでワーカホリックになることにどこかで快楽を感じてしまったりする問題と関連していきやすいでしょう。
そうした恐れや悪癖を手放していこうとするような動きや生活が、冥王星がみずがめ座に入ったり戻ったりしてきたこの1年半のあいだ、自分の人生にどのように現れてきたのか、このタイミングで改めて整理してみるといいでしょう。
10月「優しさと強さのいいとこ取りを諦める」
10月14日に前後して、「父方から受け継いだもの」を象徴する太陽に、「怒り」を司る火星が激しく揺さぶりをかける(90度)と同時に、「受容と肯定」の木星がそれらをまるごと受け止めていこうとします。これはレイモンド・チャンドラーが創造した名探偵フィリップ・マーロウのセリフとして知られる「強くなければ生きていけない、優しくなければ生きる資格がない」という言葉に含まれる矛盾や葛藤に、自分なりの落としどころを見つけて、胸におさめていこうとする配置と言っていいかも知れません。
そしてそれは、往々にして平凡な自分であることをある種の諦めをもって受け入れていく、という心の動きと、少なからず関係していくはずです。
11月「いっそひらりと宙返り」
11月17日に前後して、しし座の守護星で「自分が自分であること」を司る太陽が、今度は「脱構築」の天王星に向かって全力で身を投げていきます(180度)。こうした配置は、搾取を必然的に孕んでしまう「国家」や「自由意志」といった概念やシステムと、適切に距離をとったり、対等に渡りあったりしていくための知恵や戦略を実際の生活と行動に基づいて実践していく人たちの姿とも重ねることができます。
それは例えば、長らく日本で是されてきた核家族モデルを解体していくということであったり、一つの場所に定住しながら労働力や労働時間を切り売りしていく生き方を手放していくということであったりするかも知れません。いずれにせよ、かなり実験的で過激な試みに手を染めやすいでしょう。
12月「河原者であれ」
12月19日に前後して、しし座の守護星で「自我」を司る太陽に対し、「夢見」の海王星が死角から主導権を奪っていきます(90度)。
これは、急に日がな一日なにもしないでただゴロゴロしているだけの猫のようになってしまう場合と、誰彼となく色んな人と会いまくって話を聞いたり笑ったりお手伝いしたりと極端な多動性として現れる場合とがあるんですが、いずれにせよこの時期は、「生産性」や「損得勘定」といった概念はきれいさっぱりゴミ箱に捨ててしまいましょう。ひたすら美しいもの、はかないもの、ひそかなものをこそ愛でる気持ちで過ごしていきたいものです。
2024年下半期:しし座の「指針にしたい映画」
本命:『BLUE GIANT』(2023、日本)
対抗:『セッション』(2014、アメリカ)
大穴:『コーダ あいのうた』(2021、アメリカ & フランス & カナダ)
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