Instagramと森美術館のイベント「#emptyMoriArtMuseum」では、19名のインスタグラマーが「N・S・ハルシャ展」を自由に撮りまわり、新たなアートの楽しみ方が生まれたように思います。
そのイベントにも参加していたインスタグラマー・石川聡美さん(@sato_co)の写真がとても素敵だったので、今回お話を聞きました!
#emptyのイベントは全てiPhoneで撮影
--今回、Instagramの#empty初参加とのことでしたが、どんな風に撮りたいなどのイメージはあったんですか?
正直どんなイベントなのか分からなかったのですが、知っている美術館を貸し切って作品を撮らせていただけるとのことだったので、大きな作品が伝わるように、引きで撮ろうと思ってました。
--Instagramを拝見して、普段はポートレートが多いのかなと思っていたのですが、今回の空間というのがどんな写真に仕上がるのかが気になります!
そうなんです、いつもの撮影では自然の中で軽くポージングしたり、動いてもらってるところを撮ったり。でも今回はいつもの撮り方だと作品を活かせないなと感じたので、どちらかというと色合いをちょっと主張できるような撮り方だったり、単純なんですけど、“作品を見てるっていう状態”の写真は、何枚か撮らせてもらいました。
--今日は全てiPhoneで?
今日は全部iPhoneで、引きで撮ってます。普段撮っているのもiPhoneとフイルムでの写真しかなくて、でも私が使っているフイルムだと室内は厳しいかなと。あとiPhoneだと広角に撮れるので、今回はiPhoneにしました。一応、フラッシュ撮影も面白いかなと思って「写ルンです」を持ってきたので、ポップなところは「写ルンです」で撮ってます。
--普段も「写ルンです」で撮っているんですか?
いや、いつもはNikonのF3というカメラを使っているんですけど、「面白い写真を撮りたいな」というときに「写ルンです」を使ってます。
--どんな写真を撮られたのか、すごい楽しみです!
ちゃんと撮れていればいいんですけど(笑)。
フィルム写真を「VSCO」で加工して自分の色に
--普段の撮影にフィルムを使っているとのことですが、Instagramの投稿に「#VSCO」があったのですが、これはアプリの……?
そうです! アプリです。
--フィルム写真をアプリで加工されているんですか?
そうですね。もちろん、フィルムの色をそのまま出した方がいいという人もいると思うんですけど、個人的にフィルムの写り方や現像しなければ分からないところが楽しくて、フィルムで撮り始めて。そこまでフィルム自体の色にいい意味でこだわりがないんですよ。それがアプリで加工して、私っぽい写真だねって言ってもらえれば、それは結局私が撮った写真なので(笑)、いいのかなって。
--フィルムで撮ったらもう写真として完成だと思っていたので、アプリ(VSCO)で、もうひと手間加えるっていうのがすごく新鮮でした。「VSCO」でよく使っているフィルターってあるんですか?
種類が多いんですけど、日常的な写真をいっぱつで加工する時は、「A6」を使ったり、少し雰囲気がある写真の時は「P4」。ただこの「P4」は100%で使ってしまうと青みが強すぎてしまうので、そのあたりはバランスを考えて少し下げたりとか、写真が不自然になりすぎないように使ってます。
--すごい! 大体のフィルターが入ってる……。
「VSCO」は最初に入ってるフィルターがすごく少ないんですよ。あと青みがあるフィルターが自分的には好きなので、Jのシリーズ、「J3」「J4」「J5」はグリーンが綺麗に出たり、青みがかったり、ピンクの写真がよりピンクになったりするのでよく使っていますね。
--すごく綺麗に加工できるんですね…。
そうですね。私が「VSCO」を使っているというのも、加工をどれだけしても画質が一切落ちないからなんです。以前、個展をやらせてもらった時に、A4、A3、A2、A1っていうところで画質が落ちるわけにはいかない。
基本的にはフィルムで個展に出すのであればそもそも加工するなよっていう話なんですけど、それでも私は手を加えてしまう。それで前回はA0っていう結構大きなサイズもあったんですけど、一度引き伸ばしてもらって「VSCO」にかけて、それでも画質が落ちないので、やっぱりこれは使えるな、と。
今までって加工すると画質が落ちるっていうのがついて回ってきていたんですけど、アプリもいろいろと進化していますよね。
フィルムカメラ再燃で廃盤フィルム復活に繋がれば…
--そんなフィルムカメラを愛用している石川さんから見て、昨今のフィルム写真の再燃についてどう思われますか?
実はそこまでフイルム歴が長いわけではなくてフィルム歴は2年くらいなんですよ。写真自体も5年弱。元々なんとなく写真を撮るのが好きで撮ってはいたんですけど、デジタルから入って、AndroidにInstagramが登場した時にInstagramを始めて。そのあとiPhoneで写真を撮り始めたんですけど、フィルムで写真を撮る人が身近にいたので使わせてもらったら一気にハマってしまいました。
最初はAndroidでInstagramを使って使っていたんですけど、iPhoneで撮る方が素敵な写真を撮る人が多いイメージだったので、ドコモから販売が始まったタイミングでiPhoneに変えて、そこからiPhoneで撮り始めたんです。
そのあとからフィルムで撮り始めたのはいいんですけど、始めて少ししたくらいからフィルムの価格が高くなったり、廃盤になっていたり、日本では買えなかったりしたので、もう少し早くフィルムを使っていれば良かったなとは思いますね。
でも今の若い人たちがたくさん使ってくれれば、「じゃあこのフィルムを復活させよう」みたいなことに繋がって、徐々に良い方向に向いてくれたら嬉しいですね!
現像しなければ分からなかったり、フィルム写真特有のノイジーな質感に魅了されてしまった石川さん。フィルムカメラを使いながらも、iPhoneでも写真を撮り、アプリでフィルム写真の質感に加工する……。
フィルム写真をアプリで加工することは一般的ではないのかもしれませんが、その姿勢からは“フィルム写真への愛や想い”を感じることができました。
同じもので撮ったとしても、加工や見せ方次第で自分だけの写真の表現ができるのは、今の時代ならでは。ただ写真を撮るだけでなく、自分の感覚にピタッとハマってくれる写真の表現を追求したい気持ちになりますね。