しんとした空気が漂うこの季節。そんな冬のお休みには、じっくりと物語の世界に浸ってみませんか?
今回は、あたたかいお部屋で静かに読みたい、ディープな“恋愛小説”を5つご紹介します。
三浦しをん『きみはポラリス』
まずご紹介するのは、三浦しをんさんの『きみはポラリス』。11の物語を収録した短編集で、それぞれのお話に様々な種類の「愛」が描かれています。
飼い主への愛、好きな人の“骨”への愛、同性の同級生への愛…。ただの「恋愛」とはくくれない気持ちが丁寧に描かれており、他者との関係性、そしてに多様性ついて考えさせられます。読んだ後は、登場人物のその後に想いを馳せてしまうはず。
川上未映子『すべて真夜中の恋人たち』
芥川賞作家・川上未映子さんが描く『すべて真夜中の恋人たち』。校閲者として働く内気な主人公「冬子」と初老の男性「三束さん」の恋愛模様がゆっくりと描かれる、長編小説です。
内気な性格の冬子さんが、戸惑い葛藤しながら純粋に恋心を抱く姿に、心を強く揺さぶられます。恋をすることの美しさと切なさが静かにこみ上げてくるような作品です。
又吉直樹『劇場』
芸人としても活躍する、又吉直樹さんの恋愛小説『劇場』。役者を目指して夢を追いかける青年「永田」が大学生の「沙希」と出会い恋をしますが、永田が演劇にのめり込むほど2人の関係性は変わっていき…。理想と現実の差にもがく永田の苦しみ、どこまでも献身的な沙希の優しさが痛く、胸が締め付けられるような一冊です。
山崎賢人さんと松岡茉優さんが主演を務めた実写映画版も話題になりましたよね。Amazonプライムで配信されているので、ぜひ映画とあわせて堪能してみて。
江國香織『ぬるい眠り』
繊細でやわらかい描写が人気の江國香織さん。短編集『ぬるい眠り』では、そんな江國さんの魅力がぎゅっと詰め込まれています。表題作の「ぬるい眠り」をはじめ、切なくもどこか不思議な江國さんワールド全開です。
浮世離れした登場人物と恋の行方は、クセになってしまう読後感。初めて江國さんの作品を読む方にもおすすめです。
島本理生『ナラタージュ』
最後にご紹介するのは、恋愛小説の名作としても有名な島本理生さんの『ナラタージュ』。大学生の「泉」と、高校時代の恩師「葉山」との関係を描いた、ちょっと大人な恋愛小説です。
この2人の心情は、一般的な常識や善悪では推し量れないもの。孤独や苦しみの末に互いを求めてしまう気持ちが理解できるからこそ、最後に下す決断には思わず涙してしまいます…。
恋愛とは、人生とは。立ち止まって考えてしまう作品です。
しんとした冬の夜に読んでみて
「恋愛」とじっくり向き合わせてくれるような、一筋縄ではいかない恋愛小説をご紹介しました。空気が張り詰めた冬の夜のように、純粋かつ儚い恋模様にどっぷり浸ってしまうこと間違いなし!
ぜひ時間を忘れて、深い本の世界を味わってみてくださいね。